2011/7/25

総合 –EUウオッチャー

セルビアが最後の戦犯逮捕、EU加盟へ大きく前進

この記事の要約

セルビア政府は20日、クロアチア紛争(1991~95年)時の戦犯として旧ユーゴ国際刑事裁判所(ICTY)から訴追されているゴラン・ハジッチ被告(52)を逮捕したと発表した。同被告はICTYに訴追された戦犯の中で唯一、逃亡 […]

セルビア政府は20日、クロアチア紛争(1991~95年)時の戦犯として旧ユーゴ国際刑事裁判所(ICTY)から訴追されているゴラン・ハジッチ被告(52)を逮捕したと発表した。同被告はICTYに訴追された戦犯の中で唯一、逃亡を続けていた。セルビアは最後の戦犯の逮捕により、EU加盟に向けて大きく前進したことになる。

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ハジッチ被告はセルビア人勢力の元政治指導者で、ブコバルでのクロアチア系住民虐殺などに関わったとされる。旧ユーゴ紛争時の戦犯を裁くICTYは2004年、同被告を人道に対する罪など14の罪状で起訴していた。政府の発表によると、ハジッチ被告は20日朝、セルビア北部のクルシェドル村で治安当局に逮捕された。同被告の身柄は22日、ICTYに引き渡された。

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セルビアは2008年にEU加盟の前段階である「安定化・連合協定(SAA)」を締結し、2009年12月に加盟を正式申請した。EUは加盟手続きを進める条件として、政府によるICTYへの全面的協力を挙げ、ムラジッチ被告をはじめとする戦犯の逮捕を求めていた。

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セルビア政府は5月、大物戦犯だったムラジッチ被告(元セルビア軍司令官)を逮捕し、身柄をICTYに引き渡した。これに続くハジッチ被告の逮捕により、セルビアはEU加盟の大きな政治的障害が取り除かれた。EUはバローゾ欧州委員長とファンロンパイ大統領(首脳会議常任議長)の共同声明で、セルビアはEU加盟に向けて「重要な一歩を記した」としており、年内に同国を加盟候補国として認定し、加盟交渉開始を承認する見通しだ。

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