2011/7/25

総合 –EUウオッチャー

普通預金口座開設の制限緩和、欧州委が加盟国に勧告

この記事の要約

欧州委員会は18日、EU加盟各国に対して、個人が普通預金口座を開設する際の制限を緩和するよう勧告した。域内の市民の多くが銀行から口座開設を拒否され、日常生活に支障をきたしていることを問題視したもの。各国政府は勧告に基づき […]

欧州委員会は18日、EU加盟各国に対して、個人が普通預金口座を開設する際の制限を緩和するよう勧告した。域内の市民の多くが銀行から口座開設を拒否され、日常生活に支障をきたしていることを問題視したもの。各国政府は勧告に基づき、国内銀行に自主的な制限緩和を要請する。状況が改善しない場合、欧州委は強制的な制限緩和に向けて、法制化に着手する方針だ。

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EU内の銀行では、手形・小切手の支払いや当座貸越などが可能な当座貯金口座だけでなく、普通預金口座の開設にも厳しい制限を設けるケースが多い。信用不足や所得水準が審査に引っかかるほか、国外からの留学生、季節労働者などが、住所が一定していないという理由で口座開設を拒否されている。このため、欧州委によると域内の成人の7%に相当する約3,000万人が銀行に口座を持っていない。うち600~700万人は、口座開設を申請したが拒否されたケースとされる。とくにルーマニア、ブルガリアでは、口座保有率が50%にとどまっているという。

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欧州委は給料や年金の受け取りに必要な普通預金口座は「日常生活に欠かせない」として、こうした状況の改善を図ることを決めた。マネーロンダリング(資金洗浄)の恐れなど特別な場合を除き、個人の信用、所得、居住地などに関係なく、適正な範囲の手数料で普通預金口座を開設できるようにする。

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まず、法的拘束力のない勧告の形で、加盟国に制限緩和を促す。各国当局は国内銀行と協議し、自主的な取り組みを求める。欧州委のバルニエ委員(域内市場・金融サービス担当)によると、1年後をめどに改善状況をチェックし、制限緩和が進んでいないと判断した場合は、法制化に踏み込んで銀行に改善を迫る方針だ。

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