2011/8/8

総合 –EUウオッチャー

EU基金で財政危機国支援、欧州委が提案

この記事の要約

欧州委員会は1日、ギリシャなど財政危機に直面しているEU6カ国をEUの開発基金を使って支援する案を採択した。各国がインフラ整備などのプロジェクトを少ない負担で実施できるようにする。支援総額は向こう2年間で28億8,400 […]

欧州委員会は1日、ギリシャなど財政危機に直面しているEU6カ国をEUの開発基金を使って支援する案を採択した。各国がインフラ整備などのプロジェクトを少ない負担で実施できるようにする。支援総額は向こう2年間で28億8,400万ユーロに上る。

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対象となるのは、ギリシャ、アイルランド、ポルトガル、ハンガリー、ラトビア、ルーマニア。いずれもEUと国際通貨基金(IMF)から金融支援を受けた国々だ。

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EU基金を活用したプロジェクトは通常、各国が総額の15~50%を負担する決まりとなっている。このため、財政状況が厳しい国はEUから予算を割り当てられたプロジェクトでも、自国の拠出が難しく、実行できない状況に陥るケースが目立っている。

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欧州委の提案は、6カ国については負担を5%とし、EU予算が残り95%を拠出するという内容。これにより対象国の開発プロジェクト実施を促進し、景気の底上げを図る。

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支援対象のEU基金は、域内の経済格差を是正するため交通・通信インフラ整備などを支援する「欧州地域開発基金(ERDF)」、「結束基金(CF)」、雇用対策を支援する「欧州社会基金(ESF)」、農漁業の構造改革を支援する「欧州農業基金(EAFRD)」と「欧州漁業基金(EFF)」。

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各国への支援額(負担減)は、ギリシャが8億7,900万ユーロ、ルーマニアが7億1,400万ユーロ、ポルトガルが6億2,900万ユーロ、ハンガリーが3億800万ユーロ、ラトビアが2億5,500万ユーロ、アイルランドが9,800万ユーロとなっている。

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同案の実施には加盟国および欧州議会の承認が必要となる。ブルガリアなど経済発展が遅れながらも財政危機を回避している国が、同支援に不公平として反発する可能性があり、調整の難航も予想される。

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