2011/9/12

総合 –EUウオッチャー

スイス中銀が対ユーロで上限設定、通貨高対策で無制限介入へ

この記事の要約

スイス中央銀行のスイス国立銀行(SNB)は6日、スイスフラン高対策として、対ユーロ相場で上限を設けると発表した。1ユーロ=1.2スイスフランを上限とし、スイスフランが同水準内で推移するよう無制限でスイスフラン売り・ユーロ […]

スイス中央銀行のスイス国立銀行(SNB)は6日、スイスフラン高対策として、対ユーロ相場で上限を設けると発表した。1ユーロ=1.2スイスフランを上限とし、スイスフランが同水準内で推移するよう無制限でスイスフラン売り・ユーロ買い介入を実施する。

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スイス中銀がスイスフランの対他国通貨相場で上限を設けるのは、1978年に対ドイツマルクで導入して以来。同措置を受けてスイスフランは6日の外国為替市場で、対ユーロで1ユーロ=1.1フランから同1.2024フラン、対米ドルで1ドル=0.785フランから同0.85フランに急落した。

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為替市場ではこのところ、欧州の信用不安、米国の景気悪化を受けてユーロ、ドルを売って安全通貨とされるスイスフランを買う動きが加速。AP通信によると、スイスフランは今年になって対ユーロで最大30%、対ドルで40%も上昇した。これによって国内経済を支える輸出、観光業が大きな打撃を受け、4-6月期の国内総生産(GDP)伸び率は前期比0.4%となり、前期の0.6%から縮小した。輸出が1.3%減となった。

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SNBは8月初め、通貨高対策として、政策金利である3カ月物の銀行間取引金利の誘導目標を0.0~0.75%から0.0~0.25%に引き下げ、事実上のゼロ金利政策に踏み切ると同時に、金融市場へのスイスフラン供給を増やし、要求払い預金を拡大する量的緩和を実施した。しかし、スイスフラン高に歯止めがかからないことから、事実上の対ユーロ・ペッグ制(=自国の通貨と特定の通貨との為替レートを一定に保つ制度)導入に踏み切った。

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SNBは声明で、現在のスイスフラン相場を「いきすぎた過大評価」と形容。通貨高がさらに進行すると景気後退とデフレを招くとして、今回の措置への理解を求めた。

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SNBは無制限でユーロ買い介入を行うため、大きなリスクを抱えることになる。声明は「SNBは困難な旅に乗り出した。コストが高くつく恐れがあることは承知の上だが、何もしなければ国内経済は長期的に多大な損害を被る」と述べ、苦渋をにじませた。

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