2011/9/12

環境・通信・その他

航空機騒音規制、加盟国による上限設定可能=欧州裁

この記事の要約

航空機の騒音規制をめぐりベルギーのブリュッセル首都圏政府と航空会社が争っている問題で、欧州司法裁判所は8日、空港付近の市街地の上空を飛行する航空機について、加盟国が騒音の上限値を設定することができるとの判断を示した。\ […]

航空機の騒音規制をめぐりベルギーのブリュッセル首都圏政府と航空会社が争っている問題で、欧州司法裁判所は8日、空港付近の市街地の上空を飛行する航空機について、加盟国が騒音の上限値を設定することができるとの判断を示した。

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ブリュッセル首都圏政府は2007年10月、夜間にブリュッセル上空を規制値以上の騒音で飛行したとして、独物流大手DHL傘下のヨーロピアンエアトランスポート(EAT)に5万6,133ユーロの制裁金支払いを命じた。EUは、空港での騒音関連の運航制限に関する指令(2002/30/EC)で、加盟国が航空機による騒音被害を緩和するための運航制限を実施することを認めているが、制限の根拠となる騒音は飛行音を対象としている。これに対し、首都圏政府は地上音に基づいて騒音規制を設定している。このためEATは、騒音規制がEUのルールに違反しているうえ、制裁金を課すことは事実上の運航制限にあたると主張。処分の取消しを求めベルギー国務院に申し立てを行い、国務院が処分の妥当性に関する先決裁定を求め、欧州司法裁に付託していた。

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欧州裁は、EU指令が定める運航制限は、「指令の目的を達成するための他の騒音管理手段が全て失敗した場合にのみ実施が認められる」としたうえで、その具体的な内容は、「空港へのアクセスを無条件あるいは一時的に禁止すること」であると定義。今回のケースは運航制限には該当せず、加盟国が地上音を基準に騒音規制を設けることは理論的に可能であるとの見解を示した。ベルギー国務院は、欧州司法裁の先決裁定を踏まえ、本件に関する最終判断を下すことになる。

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