2011/9/19

総合 –EUウオッチャー

ECBの国債買い取り、引き続き高水準

この記事の要約

欧州中央銀行(ECB)は12日、前週に総額約140億ユーロのユーロ圏国債を流通市場で買い入れたことを明らかにした。買い入れ額は前々週の133億ユーロを上回る水準で、財政危機に直面する国の国債を買い支えるため引き続き大規模 […]

欧州中央銀行(ECB)は12日、前週に総額約140億ユーロのユーロ圏国債を流通市場で買い入れたことを明らかにした。買い入れ額は前々週の133億ユーロを上回る水準で、財政危機に直面する国の国債を買い支えるため引き続き大規模な介入を行っている。

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ECBは8月初め、ギリシャに端を発した財政危機がイタリア、スペインに波及し、信用不安が拡大して両国の国債利回りがユーロ導入後の最高水準に達したことから、3月から停止していた財政悪化国の国債を流通市場で買い入れる措置を再開。両国の国債を買い支えている。前週には、政府が打ち出した財政再建への先行き不安が強まっているイタリアの国債を中心に買い入れたもようだ。

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同措置を開始した昨年5月からの買い取り額は総額約1,430億ユーロ。その半分近くが再開後に集中している。

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ECBは信用不安による金融市場の動揺を抑えるため、国債買い入れのほか、圏内の銀行に対する短期資金の無制限供給を年末まで継続する方針も打ち出している。ギリシャの財政危機が深刻化し、債務不履行(デフォルト)の懸念が強まる中、ECBのトリシェ総裁はスイスのバーゼルで開かれた主要国の中央銀行総裁会議で、「ECBは銀行の要求に応じて、固定金利で無制限で流動性を供給する能力がある」と述べ、資金供給を拡大する用意があることを示した。

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ECBによる国債買い入れの是非をめぐっては、理事会内でも対立があり、同措置に反対するシュタルク専務理事(ドイツ出身)が9日、任期途中で辞任することが決まったばかり。ドイツのショイブレ財務相は先ごろ、自身の右腕であるアスムセン財務次官を後任候補に指名した。

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