2011/9/19

総合 –EUウオッチャー

伊下院、追加緊縮案を承認

この記事の要約

イタリア議会の下院は14日、ベルルスコーニ政権が打ち出した追加財政緊縮法案を可決した。歳出カットや増税、年金制度改革などにより財政赤字を540億ユーロ余り削減し、2013年までに財政収支の均衡を目指す内容。同法案は上院で […]

イタリア議会の下院は14日、ベルルスコーニ政権が打ち出した追加財政緊縮法案を可決した。歳出カットや増税、年金制度改革などにより財政赤字を540億ユーロ余り削減し、2013年までに財政収支の均衡を目指す内容。同法案は上院ですでに承認されており、法制化が決まった。

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財政赤字が1.9兆ユーロに上り、国内総生産(GDP)比で120%近い公的債務を抱えるイタリアでは7月以降、国債利回りが急上昇。欧州債務危機拡大の懸念が強まり、財政再建が緊急の課題となった。ベルルスコーニ政権は先月に緊縮案をまとめたが、欧州中央銀行(ECB)が国債を買い支える条件としてさらなる改革を求め、付加価値税の税率を現行の20%から21%に引き上げることや、年間所得が30万ユーロを超える個人への3%の特別課税などが新たに盛り込まれた。

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市場では、追加緊縮案の可決を歓迎する声が聞かれる一方で、世界的な景気減速により、「財政目標を達成するのは難しくなっており、今後さらなる緊縮措置がとられる可能性が高い」(ロイヤル・バンク・オブ・スコットランドのエコノミスト、シルヴィオ・ペルッツォ氏)と、効果を疑問視する見方も出ている。ローマでは14日、緊縮策に抗議するデモ隊の一部が暴徒と化し、警察と衝突する場面もあった。負担増に対する国民の反発は強く、政府は今後、国民の理解を得ながら緊縮策を実行するという難しいかじ取りを迫られることになる。

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