2011/9/26

産業・貿易

欧州委が14年に金融取引税導入へ、英など反対派の適用除外も視野に

この記事の要約

欧州委員会は次期中期予算計画(対象期間:2014-20年)で導入を提案している金融取引税について、早ければ今月内にも具体的なルールを盛り込んだ法案を提示するもようだ。金融取引税はEUの独自財源を強化し、加盟国の負担増を抑 […]

欧州委員会は次期中期予算計画(対象期間:2014-20年)で導入を提案している金融取引税について、早ければ今月内にも具体的なルールを盛り込んだ法案を提示するもようだ。金融取引税はEUの独自財源を強化し、加盟国の負担増を抑えるための「EU税」の一環として打ち出されたものだが、ドイツやフランスが導入を支持する一方、欧州最大の金融センターであるシティを抱える英国が強く反対している。加盟国間の意見調整は難航が必至なことから、市場では18年の導入が現実的といった見方が広がるなか、欧州委は次期中期予算の初年度にあたる14年からの実施を提案する方針を示唆している。

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金融取引税は通称「トービン税」と呼ばれるもので、EU内で活動する金融機関を対象に、株式、債権、外国為替などの取引に課税する仕組み。欧州委は6月に発表した次期中期予算計画の原案で5%の予算増額を提案する一方、予算拡大に伴う加盟国の負担増を抑えるため、EU共通の付加価値税と共に金融取引税を導入する方針を打ち出した。

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欧州委のブーブビル税制担当報道官は23日の会見で、金融取引税を14年に導入する可能性に関する質問に対し、「合理的な推測だ」と発言。早期実現に向けて数週間以内に法案を提出する方針を明らかにした。

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課税対象の範囲や税率など詳細は欧州委が詰めている段階だが、英政府は金融取引税が導入されると投資が域外に流出し、EUの競争力が低下するなどと主張して、当初から計画に強く反対している。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が欧州委のバローゾ委員長に近い筋の情報として報じたところによると、同委は英国など計画に反対する加盟国を除いた形で金融取引税を導入する案について検討を進めているもよう。ただ、金融取引税の導入を支持する国からも早期導入には慎重な意見が出ており、いずれにせよ協議の難航は避けられない情勢だ。

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