2011/9/26

産業・貿易

EU、中国と投資協定締結へ

この記事の要約

EUは中国と投資協定を結ぶ方針を固めた。欧州委員会のデフフト委員(通商担当)は20日、早ければ来月にも協定締結に向けた協議を開始する可能性があると明らかにした。実現すればEUとして第三国と結ぶ初めての投資協定となる。\ […]

EUは中国と投資協定を結ぶ方針を固めた。欧州委員会のデフフト委員(通商担当)は20日、早ければ来月にも協定締結に向けた協議を開始する可能性があると明らかにした。実現すればEUとして第三国と結ぶ初めての投資協定となる。

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2010年の中国による対EU直接投資は9億ユーロと、09年の3億ユーロから1年で3倍になった。一方、10年のEUによる対中直接投資は49億ユーロと09年(58億ユーロ)から減ったものの、中国向け海外直接投資(FDI)の上位5カ国・地域に入っている。中国企業によるEU向け投資が急増するなか、欧州では中国が外資による投資を厳しく規制していることに不満の声があがっている。EUが投資協定の締結に動いた背景には、協定を手がかりに中国に市場開放を迫り、欧州企業の対中ビジネス拡大の環境を整えたいという思惑がある。

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デフフト委員は財界関係者向けセミナーで、EUが中国企業に市場を開放しているのに対し、中国がEUからの投資を規制していることは、「双方にとって経済上の利益の実現するうえで障害となっている」と指摘。10月に天津で開かれるEUと中国の首脳会談で「投資協定について交渉開始で合意できるよう期待している」と述べた。

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投資協定の内容は不明だが、デフフト委員はEUと中国双方の投資保護に関する条項が含まれるとの見通しを示した。また、すでにEU加盟国の多くが個別に中国と二国間で締結済みの協定を結んでおり、新たにEUとして投資協定を結ぶことに加盟国がどう反応するかについても不透明な状況だ。

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在中国の欧州連合(EU)商工会議所が先ごろ公表した年次報告書によると、加盟企業およそ1,600社のうち、中国政府による規制が「外国企業を差別している」と回答した企業は全体の43%にのぼり、昨年から10ポイント増加している。

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