2011/10/10

総合 –EUウオッチャー

欧州中銀が資金供給拡大、利下げは見送り

この記事の要約

欧州中央銀行(ECB)は7日の定例政策理事会で、ユーロ圏17カ国の最重要政策金利を現行の年1.5%に据え置くことを決めた一方で、信用不安などによる資金繰り悪化に直面する圏内の銀行への資金供給を拡大する方針を打ち出した。イ […]

欧州中央銀行(ECB)は7日の定例政策理事会で、ユーロ圏17カ国の最重要政策金利を現行の年1.5%に据え置くことを決めた一方で、信用不安などによる資金繰り悪化に直面する圏内の銀行への資金供給を拡大する方針を打ち出した。インフレ率が急上昇するなか、利下げではなく量的緩和の拡大で金融システムを支えていくことになる。

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ユーロ圏では今年に入って、原油価格の高騰を背景にインフレ率が急上昇したことから、ECBは4、7月に各0.25%の利上げを実施した。しかし、7、8月に物価上昇に歯止めがかかったことから、トリシェ総裁は9月の理事会後の記者会見で物価安定から景気対策に重点を移し、10月にも利下げに踏み切ることを示唆していた。

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ところが、先ごろ発表された9月のインフレ率が前月の2.5%から3%に急拡大し、約3年ぶりの高水準に達したことから利下げを断念。代わりに量的緩和拡大によって景気を下支えすることを決めた。

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ECBは期間12、13カ月の中期資金を12月から無制限で供給する。また、リーマンショック後の金融危機に際して導入し、昨年6月に中止した担保付き債券(カバードボンド)の購入を11月に再開し、総額400億ユーロ相当を買い入れる。さらに、定例オペレーションで短期資金を無制限供給する措置も3カ月延長し、来年7月まで継続することも決めた。

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10月末に退任するトリシェ総裁の定例政策理事会出席は今回が最後。同総裁は今後の金利見通しについて、現行金利は「なお緩和的だ」と述べ、利下げの可能性に触れなかった。景気がさらに悪化した場合の対応は、11月に就任するマリオ・ドラギ新総裁に委ねられることになる。

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