2011/10/17

産業・貿易

商取引の共通ルールを提案、国境越える取引拡大へ

この記事の要約

欧州委員会は11日、企業間取引や企業と消費者の取引などに関するルールを定めた契約法をEUレベルで統一する「共通欧州販売法(Common European Sales Law)」を提案した。販売に関するルールが加盟国間によ […]

欧州委員会は11日、企業間取引や企業と消費者の取引などに関するルールを定めた契約法をEUレベルで統一する「共通欧州販売法(Common European Sales Law)」を提案した。販売に関するルールが加盟国間によって異なることが、域内の国境を越える商取引の拡大を阻み、消費者の選択の幅を狭めているとの認識に立ったもの。

\

EUでは現在、国ごとに異なる契約ルールが運用されているため、域内の複数の国で事業を展開する企業は常に法律上の不確定要素を抱え、コスト面でも大きな負担を強いられている。一方、消費者にとっても国外の企業と取引する際に契約上のトラブルに直面するケースが多く、国境を越えた商取引の阻害要因になっている。欧州委は、国ごとに異なる契約システムがとりわけ域内企業の99%を占める中小企業の国外進出を阻む要因となっており、260億ユーロに上る商取引機会が失われていると指摘。域内共通の契約ルール整備の必要性を訴えていた。

\

欧州委がまとめた欧州契約法の草案によると、新システムでは域内の企業は国ごとに運用されている既存の契約ルールか、新たに導入されるEU共通の契約ルールのどちらか一方を選び、それに基づいて事業を展開することができる。欧州委の世論調査「ユーロバロメーター」によると、国境を越えた取引の際に国内ルールとEU共通ルールのどちらを選択するかという質問に対し、71%の企業がEUルールを選ぶと回答したという。欧州委のレディング副委員長(司法担当)は「共通欧州販売法は、EU経済の成長の原動力である統一市場に弾みをつけるものだ。企業は少ないコストで容易に国外にビジネスを拡大することができ、消費者はより良い取引の機会と高いレベルの保護が約束される」と述べた。

\

欧州委の提案はEU加盟国と欧州議会の承認を経て成立する。

\