2011/10/17

環境・通信・その他

COP17で京都議定書延長を容認へ、米中印の枠組み参加条件に

この記事の要約

EU加盟国は10日開いた環境相理事会で、2013年以降の温暖化対策の国際的な枠組みについて協議し、12年末に期限が切れる京都議定書の延長を条件付きで支持する方針で一致した。11月末に南アフリカのダーバンで開かれる国連気候 […]

EU加盟国は10日開いた環境相理事会で、2013年以降の温暖化対策の国際的な枠組みについて協議し、12年末に期限が切れる京都議定書の延長を条件付きで支持する方針で一致した。11月末に南アフリカのダーバンで開かれる国連気候変動枠組み条約第17回締約国会議(COP17)では、米国、中国、インドなど温室効果ガスの主要排出国が削減目標の枠組みに参加することを条件に、13年以降の議定書延長を容認する方向で協議に臨む。

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COP17ではポスト京都議定書の国際的枠組みで各国が合意できるかが焦点となる。EUは当初、同議定書に代わる法的拘束力のある新たな枠組みの構築を目指していたが、途上国の強い反発で交渉が暗礁に乗り上げたため、昨年のCOP16を前に議定書の延長容認に方針転換していた。

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環境相理での合意によると、EUは米国や中国などが温室効果ガスの削減に向けた行程表の作成に合意することを条件に、京都議定書に13年以降の「第2約束期間」を設ける方針を支持する。ただし、同措置はあくまでも法的拘束力のある新たな枠組みが成立するまでの「移行期間」と位置づけ、延長期間は最長で20年までとする。また、市場での排出量取引や吸収源の保護・育成など、議定書が定める主要な取り組みを維持することも延長の条件となる。

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環境相理ではこのほか、京都議定書に基づいて各国に割り当てられた排出権(AAU)の余剰枠(ホットエア)の取り扱いについても話し合われた。議定書で温室効果ガスの排出削減が義務付けられている従来からのEU加盟国では、多くの国で余剰排出枠が出る見通しとなっており、13年以降の枠組みにどの程度の余剰枠の繰り越しを認めるかが焦点の1つとなる。無制限に余剰枠を繰り越せるようにした場合、全体的な削減効果が薄れるため、理事会では一定の制限を設けるべきだとの意見が大勢を占めたが、「環境保全に向けた野心的アプローチ」を模索する方針を確認するにとどめ、具体的な上限値の提案には至らなかった。

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欧州委員会のヘデゴー委員(気候変動担当)は会見で、EUの温室効果ガス排出量は世界全体の11%程度にとどまる点に触れ、温暖化対策を進めるには「残る89%の削減努力が不可欠だ」と指摘。「一部の国が主張するように無条件で京都議定書を延長した場合、ダーバンでの合意による削減効果はまったく期待できない」と述べ、米中など主要排出国の参加が新議定書の条件になるとの考えを強調した。

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