2011/10/24

総合 –EUウオッチャー

インサイダー取引などに共通の刑事罰、欧州委が提案

この記事の要約

欧州委員会は20日、インサイダー取引や相場操縦などの不当行為について、EU共通の刑事罰を設けて処罰することなどを柱とする指令案を発表した。金融市場のグローバル化により、市場濫用行為の可能性が高まっていることに対応するのが […]

欧州委員会は20日、インサイダー取引や相場操縦などの不当行為について、EU共通の刑事罰を設けて処罰することなどを柱とする指令案を発表した。金融市場のグローバル化により、市場濫用行為の可能性が高まっていることに対応するのが狙い。

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EUでは現在、インサイダー情報を利用して取引をしたり、虚偽のあるいは紛らわしい情報の拡散により市場を操作する行為に対する罰則規定は加盟国によってまちまちであり、オーストリア、ブルガリア、スロバキア、チェコ、エストニア、フィンランド、スロベニアでは罰則規定が存在しないか、インサイダー取引あるいは相場操縦のどちらか一方にだけ罰則を科している。

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欧州委は、こうした現状は投資家が法制度の違いを利用して制裁を回避することを可能にしていると指摘。市場濫用行為を企てたり、扇動、ほう助、教唆した場合に対して、最低限の刑事的制裁を設けることを提案している。実現すれば、欧州委員会がリスボン条約に基づく新たな権限を行使し、刑事罰によりEU政策を執行する初のケースとなる。

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欧州委はまた、現行の市場濫用指令に代わる新たな市場濫用規則を提案した。急速に変化を遂げる金融市場に対応するため、現行指令ではカバーされていない、新しいプラットフォームや店頭でのみ取引される金融商品、最近急速に広がっているハイフリークエンシー取引(高頻度取引)にも規制の対象を広げるとともに、当局が不当行為を調査する際に必要となる情報へのアクセスを確保するための様々な施策が盛り込まれている。

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欧州委員会のバルニエ委員(域内市場・金融サービス担当)は「法的枠組みの拡大・強化、当局の権限と制裁の強化によって、市場のクリーンさと透明性を維持することができる」とコメントした。

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