2011/10/24

産業・貿易

500億ユーロのインフラ投資発表、輸送・エネルギーなどの基盤整備

この記事の要約

欧州委員会は19日、EU域内の国境を越えた輸送・エネルギー・高速インターネットのインフラ整備を推進するため、2014-20年に総額500億ユーロを投じる計画を発表した。主要3分野で域内全体をカバーするネットワークを構築し […]

欧州委員会は19日、EU域内の国境を越えた輸送・エネルギー・高速インターネットのインフラ整備を推進するため、2014-20年に総額500億ユーロを投じる計画を発表した。主要3分野で域内全体をカバーするネットワークを構築してEU経済の競争力強化と雇用促進を図り、単一市場の完成を目指す。プロジェクトのリスクを軽減して長期にわたる民間からの投資を促すため、欧州委は事業主体が発行する「プロジェクト債」にEUと欧州投資銀行(EIB)が保証を付ける枠組みも併せて提案している。加盟国と欧州議会の承認を得て12年から試験期間に入る。

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EUは20年までの成長戦略「欧州 2020」で輸送・エネルギー・デジタル分野のインフラ整備を優先課題の1つに挙げている。今回の投資計画もこれに沿って策定されたもので、各ネットワークの欠けている部分を埋めて完全な相互接続性を確保し、環境負荷の少ない輸送形態、高速ブロードバンド網の整備、再生可能エネルギーの利用促進などを通じて持続可能な経済成長を実現することを目的としている。

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計画によると、500億ユーロのうち317億ユーロは輸送分野に配分され、全長1万5,000キロに上る鉄道網の高速化や、域内の主要な港湾や空港にアクセスするための道路や鉄道の整備などに充てられる。エネルギー分野には91億ユーロが拠出され、カスピ海周辺国からロシアを迂回して天然ガスを欧州に運ぶ「南回廊」のパイプライン建設をはじめとするプロジェクトに活用される。通信分野では過疎地などの高速ブロードバンド網の構築や、関連するデジタルサービスのためのインフラ整備に92億ユーロが投じられる。

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一方、プロジェクトの資金調達手段として打ち出された「欧州2020 プロジェクト債」はEUが起債するのではなく、各事業で中心となる民間企業が発行し、EUとEIBが保証を付けたり返済の優先順位が低い劣後債を引き受ける仕組み。欧州委はEUの資金を活用してリスクが軽減され、民間投資家から資金調達しやすい環境が整うと説明している。

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なお、12-13年の試験期間では輸送・エネルギー・通信の各分野で事業者の選定プロセスや資金計画などが進捗している計10-15件の事業にプロジェクト債のスキームが適用され、13年までの現行予算から2億3,000万ユーロが拠出される。

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