2011/10/31

産業・貿易

海底油田・ガス田の安全規制強化、欧州委が新ルール提案

この記事の要約

欧州委員会は27日、EU域内の海底油田およびガス田での事故防止を目的とする新たな規制案を発表した。掘削施設の設計から撤去に至る探査・生産活動の全プロセスをカバーする域内共通ルールを定めて海底油田・ガス田の安全性を高め、大 […]

欧州委員会は27日、EU域内の海底油田およびガス田での事故防止を目的とする新たな規制案を発表した。掘削施設の設計から撤去に至る探査・生産活動の全プロセスをカバーする域内共通ルールを定めて海底油田・ガス田の安全性を高め、大規模な事故による環境汚染や経済損失を未然に防止する。事業者は新技術やノウハウの導入状況などを考慮して定期的に安全基準を見直し、リスク管理を徹底するとともに、事故が発生した場合に汚染除去などの費用を負担することが義務づけられる。加盟国と欧州議会の承認を経て2年後の新ルール導入が見込まれる。

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欧州委によると、EU域内とノルウェーで生産される石油の90%以上、ガスの60%以上が海底からのもので、EU海域では約1,000の掘削・生産施設が稼働している。事業者は英国とノルウェーが大部分を占めているが、欧州全体で海底油田・ガス田への関心が高まっており、現在はオランダ、デンマーク、ドイツ、イタリア、スペイン、アイルランドなど13カ国が事業免許を交付している。ただ、掘削施設の安全基準や運用ルールなどは国ごとに異なり、事故が起きた場合の対応も国によってばらつきがある。欧州委はこうした現状を踏まえ、昨年4月に発生した米メキシコ湾の原油流出事故を教訓として、海底油田・ガス田の安全性を高めるための規制策を検討していた。

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新ルールによると、各国当局は事業免許を付与する際の審査基準を厳格化し、海底油田やガス田の開発を手掛ける事業者に対する監視体制を強化することが求められる。一方、事業者はリスク評価を含む詳細な安全報告書や緊急対応計画の策定を義務づけられる。さらに大規模な事故を想定した域内共通の補償ルールも導入される。現在は「環境責任指令」の汚染者負担原則に基づき、事業者は事故で原油が流出した場合、環境損害に伴う費用を負担することになっているが、同ルールの適用範囲はプラットフォーム(掘削基地)から半径12海里に限定されている。新ルールではこれが半径200海里に拡大され、事業者はより広い範囲で環境汚染の責任を負わされることになる。

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