2011/11/14

総合 –EUウオッチャー

ユーロ圏の12年成長率、0.5%に下方修正=欧州委秋季予測

この記事の要約

欧州委員会は10日発表した秋季経済予測で、2012年のユーロ圏のGDP予想伸び率を0.5%とし、春季予測(5月)の1.8%から大幅に下方修正した。ユーロ圏の信用不安が投資、消費に悪影響を及ぼすと見込んだもので、今年の予想 […]

欧州委員会は10日発表した秋季経済予測で、2012年のユーロ圏のGDP予想伸び率を0.5%とし、春季予測(5月)の1.8%から大幅に下方修正した。ユーロ圏の信用不安が投資、消費に悪影響を及ぼすと見込んだもので、今年の予想成長率も1.6%から1.5%に下方修正した。(表参照)

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欧州委は景気の先行き不安で、設備投資、個人消費が冷え込み、財政再建を迫られている各国の緊縮策によって内需が停滞するのは避けられないと指摘。今年10-12月期は前期比0.1%の成長にとどまり、来年1-3月期はゼロ成長に落ち込むとの見通しを示した。レーン委員(経済通貨問題担当)は「成長は足踏みしている。新たな景気後退に陥るリスクもある」と述べた。

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EU27カ国ベースの予想成長率は11年が1.6%、12年が0.6%。それぞれ前回の1.8%、1.9%から引き下げた。

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国別では、深刻な財政危機に直面するギリシャが11年は5.5%、12年は2.8%のマイナスになると予想。ギリシャと同じくEU、国際通貨基金(IMF)から金融支援を受けているポルトガルについても、両年ともマイナス成長とした。主要国の12年成長率は、ドイツが0.8%、フランスと英国が0.6%。第2のギリシャとなることが懸念されているイタリアは0.1%の低水準に設定された。

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一方、ユーロ圏のインフレ率は、11年が2.6%と、欧州中央銀行(ECB)の上限目標値である2%を超えるが、12年には1.7%まで低下すると予想。失業率は11年が10%、12年が10.1%と、高止まりを見込んでいる。

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各国の財政状況に関しては、ギリシャの累積債務は財政政策が現状のままでは11年が国内総生産(GDP)比162.8%と、昨年の144.9%から膨らみ、12年には198.3%まで上昇すると予想。イタリアについては、11年、12年とも2010年のGDP比118.4%を上回る120.5%としている。

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