欧州委員会は11日、同日から19日までトルコのイスタンブールで開催される大西洋マグロ類保存国際委員会(ICCAT)の年次会合に臨むEUの立場を表明した。大西洋および地中海のマグロ資源を確実に回復させ、持続可能な形で利用するため、ICCATの科学的知見に基づく総漁獲量を設定したうえで、乱獲防止に向けた取り組みを強化しなければならないと指摘。特に資源枯渇の危機にある地中海のクロマグロの漁獲実態を把握するため、漁業者に対して正確な漁獲量の報告を促す奨励策の導入などを提案する意向を示している。
\マグロ類は近年、世界中で大量に消費されているが、過剰な漁獲や実効性のある管理体制が確立されていないことなどから、多くの海域で資源量の減少が懸念されている。なかでも地中海を中心とした東大西洋のクロマグロは資源量の減少が著しく、ICATTを中心に資源管理のあり方が議論されている。
\欧州委はまず、クロマグロの資源保護に関連して、2012年の総漁獲量を11年と同じ1万2,900トンに抑えたうえで、違法漁業を取り締まるための対策を強化し、漁獲から流通の全過程で監視体制を整える必要があると指摘。トレーサビリティの確保に向け、EUが中心となって現在のペーパー式の報告書に代わる電子レポートシステム「e-BCD」の導入を進めると共に、ICCATが管轄するクロマグロ以外の品種についてもEU主導で同様の漁獲管理システムを構築する意向を示している。
\一方、欧州委は同委のダマナキ委員(漁業・海事担当)が先にICCAT議長に書簡を送り、資源管理の効率化を図るため、年次会合で漁業者に漁獲量の報告を促す奨励策を提案する方針を伝えたことを明らかにした。さらに同委員はICCATが科学的データに基づいて適切に資源管理に関する決定を下すことができるよう、ICCATの科学委員会や外部機関からの報告や助言を一元管理する仕組みの構築も提言する方針を示している。
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