2011/11/21

競争法

S&Pに対する調査打ち切り、証券コード利用料金の見直しで

この記事の要約

欧州委員会は15日、国際的な証券識別コード「ISIN」の利用料金に関連した米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)に対する調査を打ち切ると発表した。S&Pが提示した料金設定の見直し案につい […]

欧州委員会は15日、国際的な証券識別コード「ISIN」の利用料金に関連した米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)に対する調査を打ち切ると発表した。S&Pが提示した料金設定の見直し案について検討した結果、一連の措置によって利用者の費用負担が大幅に軽減され、欧州金融市場の効率性が高まると判断した。無料または実費手数料のみで情報提供を行うとしたS&Pの提案はただちに法的拘束力を持ち、同社は向こう5年間にわたり同措置を実行して欧州委に毎年、順守状況を報告する義務を負う。順守義務を怠った場合は総売上高の最大10%に相当する制裁金が科されることになる。

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米国ではS&Pが唯一の付番機関(NNA)として、米銀行協会の委託により有価証券の銘柄を識別する証券コードを管理している。欧州の銀行や投資会社などが米国で付番されたISINコードを利用して、S&Pや金融情報サービス会社のデータベースにアクセスするたびにライセンス料が課金される仕組みになっており、顧客の間で不満が高まっていた。欧州委は域内の金融機関や投資会社の業界団体からの苦情を受け、2009年1月にS&Pが設定しているISINコードの利用料金について調査を開始。同年11月、「S&Pが米国における独占的地位を利用して欧州の顧客から不当にライセンス料を徴収している疑いがある」とする初期調査の結果をまとめ、同社の商慣行が公正な競争を阻害しているとして異議告知書を送付した。

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S&Pはこれに対して今年5月、欧州の金融サービス会社や銀行・投資会社がISINを利用してS&Pのデータベースに直接アクセスする場合のライセンス料を最大で年間1万5,000米ドルに抑え、銀行や投資会社が金融情報サービス会社を通じて間接的にISINを利用する場合は課金しないとの改善策を提示。欧州委は利害関係者からの意見も踏まえ、同措置を妥当と認め、S&Pに対する調査を打ち切った。

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