2011/11/28

総合 –EUウオッチャー

欧州委が原発ストレステストの中間報告、EU共通の安全基準策定を提案

この記事の要約

欧州委員会は24日、EU域内のすべての原発を対象に実施しているストレステスト(耐性審査)の中間報告を公表した。これは原発の運営事業者による自己評価を基に、各国政府が欧州委に提出した報告書をまとめたもの。欧州委は「稼働中の […]

欧州委員会は24日、EU域内のすべての原発を対象に実施しているストレステスト(耐性審査)の中間報告を公表した。これは原発の運営事業者による自己評価を基に、各国政府が欧州委に提出した報告書をまとめたもの。欧州委は「稼働中の原発を停止するなど緊急の措置を要する危険は指摘されていない」とする一方、報告の内容や形式が国によって異なることを理由にEUとしての安全性評価は見送り、EU共通の安全基準を策定することを提案している。

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EUは東京電力福島第一原子力発電所の事故を受け、6月から域内14カ国にある計143基の原子炉を対象に、地震、津波、洪水、豪雨などの自然災害や航空機事故を想定した耐性審査を進めている。欧州委は中間報告で「ただちに原発を閉鎖しなければならないような重大なリスクは報告されていない」と説明。そのうえで、原発の安全性を確保するには国ごとに異なる基準を統一する必要があると強調。新たな規制または加盟国の協力を通じて◇原発の立地、設計、建設、運営に関するEU共通の基準を策定する◇各国当局に国境を越えたリスク管理計画を策定・実施する権限を与える◇事故に備えてEU共通の賠償制度を整備する――などを提案している。

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EUでは今後、各国当局の専門家らが自国以外の原発について相互に安全性のチェックを行い、来年6月までに最終報告をまとめる。欧州委のエッティンガー委員(エネルギー担当)は声明で「ストレステストは欧州レベルで原発の安全性を強化するうえで極めて重要なステップだ。原子力発電を行うかどうかは加盟国が判断することだが、EU市民が危険にさらされることのないよう、EU全域で最も厳格な安全基準が尊重されなければならない」と強調した。

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