2011/12/12

総合 –EUウオッチャー

伊新政権が追加財政再建策を発表、3年間で300億ユーロ規模

この記事の要約

イタリアのモンティ内閣は5日、信用不安解消に向けた追加の財政再建策を議会に提出した。増税や年金制度改革により、新たに3年間で300億ユーロを浮かし、うち200億ユーロを赤字削減に充てる。クリスマス前の可決を目指す。\ モ […]

イタリアのモンティ内閣は5日、信用不安解消に向けた追加の財政再建策を議会に提出した。増税や年金制度改革により、新たに3年間で300億ユーロを浮かし、うち200億ユーロを赤字削減に充てる。クリスマス前の可決を目指す。

\

モンティ政権が4日の閣議で決めた財政再建策は、歳出削減、増税、年金改革、脱税防止策の強化を盛り込んだ内容。増税では、ベルルスコーニ政権時に廃止された住宅税を復活させ、ぜいたく品への課税率を拡大する。年金では、女性の受給開始年齢を2012年に現在の60歳から62歳に引き上げ、さらに2018年までに男性(現在は65歳)・女性とも同年齢を66歳にする。年金保険料の払い込み期間も延長する。脱税対策としては、1,000ユーロ以上の買い物に電子決済を義務付け、法人所得税・付加価値税(VAT)の脱税を難しくする。

\

政府は2013年に財政を均衡化させる計画。その実現が困難な見通しとなった場合には、追加措置として2012年下期にVATの税率を引き上げる方針だ。

\

政府は今回の財政再建策で確保する300億ユーロのうち100億ユーロを、財政緊縮が経済成長に及ぼす悪影響を最小限に抑えるため、雇用・経済対策に投入。若年層や女性を新規雇用する企業への税制優遇策などを実施する。

\

最大の焦点は年金改革。労組は弱者に大きなしわ寄せが及ぶとして反発しているが、モンティ首相は「イタリアを救うための措置だ」と述べ、必要性を強調。担当閣僚のフォルネロ労働・社会政策相は発表に際して、涙を浮かべながら「犠牲を強いることは承知だが、国家の窮乏を避けるために必要であることをわかってほしい」と述べ、国民に理解を求めた。

\

市場は追加の財政再建策を評価し、7%を超えていたイタリアの10年物国債の流通利回りは5日、5.952%まで低下した。

\