2011/12/12

競争法

電子書籍で競争法違反の疑い、アップルなど調査

この記事の要約

欧州委員会は6日、米アップルと欧米の出版大手5社が電子書籍の販売をめぐって違法な協定を結んだ疑いがあるとして、EU競争法に基づく本格調査に着手したと発表した。アップルと5社の間に反競争的な取り決めや商慣行があったかどうか […]

欧州委員会は6日、米アップルと欧米の出版大手5社が電子書籍の販売をめぐって違法な協定を結んだ疑いがあるとして、EU競争法に基づく本格調査に着手したと発表した。アップルと5社の間に反競争的な取り決めや商慣行があったかどうかについて調査を進めるほか、出版各社が電子書籍の販売業者と交わした契約の内容や条件についても詳しく検証する。

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調査対象になっている出版社は仏アシェット・リーブル(親会社はラガルデール)、米ハーパー・コリンズ(同ニューズ・コーポレーション)、米サイモン&シュスター(同CBSコーポレーション)、英ペンギン(同ピアソン・グループ)、独フェアラークグルッペ・ゲオルク・フォン・ホルツブリンク(英マクミラン・パブリッシャーズなどの親会社)。欧州委は今年3月に域内の電子書籍関連企業への立ち入り調査を実施するなど、英公正取引局(OFT)と連携して予備調査を進めており、アップルと出版5社の取り決めがカルテルや制限的商慣行を禁止するEU競争法に抵触するとの疑いを強めていた。

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欧州委が特に問題視しているのは、アップルがタブレット型端末「iPad」の発売に合わせ、電子書籍のオンライン配信サービス「iブックストア」を立ち上げた際に導入した「代理店契約」と呼ばれるビジネスモデル。従来は出版社が卸価格を設定し、書店が小売価格を決めるシステムが一般的だったが、アップルとの契約では出版社が電子書籍の小売価格を自由に設定し、売り上げの70%を出版社、30%をアップルが受け取る仕組みになっている。このため、小売り段階で値崩れが起きる可能性は極めて低い。

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アップルが出版社との間で最初に代理店契約を導入して以来、人気作品の販売権を得るために販売業者が出版社との契約で同様のモデルを採用する動きが広がっている。こうしたことから、欧州委は代理店契約によって販売業者が価格決定権を失い、結果的に電子書籍ストア間の競争が不当に妨げられているとの見方を強めている。

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電子書籍の販売契約をめぐっては、米国でもアップルと出版5社に対する調査が行われており、欧米当局が連携して実態の解明を進めているものとみられる。

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