2011/12/27

環境・通信・その他

欧州議会の環境委、排出枠上限の削減案可決

この記事の要約

欧州議会の環境委員会は20日、EUの排出量取引制度(EU-ETS)の第3期間(2013-20年)におけるEU全体の排出枠上限(キャップ)を大幅に削減する案を賛成多数で可決した。排出権の過剰供給によって過去最低の水準に落ち […]

欧州議会の環境委員会は20日、EUの排出量取引制度(EU-ETS)の第3期間(2013-20年)におけるEU全体の排出枠上限(キャップ)を大幅に削減する案を賛成多数で可決した。排出権の過剰供給によって過去最低の水準に落ち込んでいる排出権価格を下支えし、温室効果ガスの排出削減に向けた投資を促すのが狙い。欧州議会本会議とEU加盟国で同案が承認された場合、欧州委員会が2012年末までに第3期間のキャップを定めた現行指令の改正案を策定する。

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EU-ETSの第1期間(05-07年)と第2期間(08-12年)では、加盟国が国内割当計画(NAP)を作成し、欧州委の承認を得たうえで対象施設に排出枠を配分する方式がとられてきたが、第2期間の割当総量が全体として高い水準に設定された結果、累積余剰から生じた供給過剰のため排出権価格が下落。スキームを効果的に機能させるにはCO2換算で1トンあたり20-50ユーロの価格を維持する必要があるとされるが、今月半ばには6.3ユーロとEU-ETS発足以来の最安値を記録するなど、排出権価格は今年に入り20ユーロを大幅に下回る水準で推移している。

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EU-ETSの第3期間に向けた制度改革の一環で、13年以降はNAPを廃止し、第2期間の割当総量を基にEUレベルで排出枠の上限を設定する方式に移行することが決まっている。環境委では排出権価格の下落に歯止めをかけるため、欧州委の権限で第3期間のキャップを現在設定されている水準から15%(約14億トン)削減する案が承認された。

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環境委の採決を受け、排出権価格は一時32%上昇した。

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