2012/1/23

環境・通信・その他

19年までに廃家電の85%回収義務、欧州議会が指令案可決

この記事の要約

欧州議会は19日の本会議で、EU域内の製造業者に廃家電の回収・リサイクルを義務づけた「使用済み電子・電気製品に関する指令(WEEE指令)」の改正案を賛成多数で可決した。EU加盟国に対し、原則として2019年までに国内で廃 […]

欧州議会は19日の本会議で、EU域内の製造業者に廃家電の回収・リサイクルを義務づけた「使用済み電子・電気製品に関する指令(WEEE指令)」の改正案を賛成多数で可決した。EU加盟国に対し、原則として2019年までに国内で廃棄された使用済み電子・電気製品の85%の回収を義務づけることを柱とする内容。加盟国はすでに改正案の内容で合意しており、閣僚理事会で近く正式に承認される見通し。加盟国は新ルールに沿って18カ月以内に国内法を整備しなければならない。

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WEEE指令は廃家電による環境破壊と健康被害のリスクを最小限に抑えるため、2004年に導入された規制で、06年末までにEU市民1人当たり年間平均4キログラムの廃家電の回収を目標に掲げ、16年までに達成すべき再生率とリサイクル率をカテゴリー別に定めている。しかし、携帯電話やパソコンなどの普及を背景にこうした電子ごみは増え続けており、およそ8割が適切に回収されず、違法に埋め立てられたり、途上国に輸出されて主に金属資源として売買されている。EUではこうした現状を改善するため、08年からWEEE指令の改正に向けた議論が続いていた。

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新ルールによると、加盟国は16年以降、過去3年間に国内で販売された電子・電気製品100トンにつき45トンの回収が義務づけられる。19年以降は販売された機器100トンにつき65トンを回収するか、国内で廃棄された使用済み機器の85%を回収しなければならない。ただし、チェコ、ハンガリー、ポーランド、スロバキア、ルーマニアなど10カ国についてはより緩やかな規制が適用され、16年の回収目標は廃棄された機器の40%、最終的な回収目標の達成期限は21年に設定された。

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一方、EU諸国から大量の使用済み携帯電話やパソコンなどが「中古品」として途上国に輸出され、それらの機器に含まれるレアメタルがしばしば危険な環境で回収され売買されている現状を改善するためのルールも改正案に盛り込まれた。輸出業者は今後、途上国向けの製品が実際に再利用の目的で輸送されることを証明しなければならない。さらにメーカーに加えて販売業者も規制の対象となり、家電量販店などは携帯電話をはじめとする小型の電子機器の回収義務を負うことになる。

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