2012/1/30

産業・貿易

店頭デリバティブ規制の修正案で合意、欧州証券監督機構の権限強化

この記事の要約

EU加盟国は24日に開いた経済・財務理事会で、店頭市場で取引される金融派生商品(デリバティブ)に対する監視強化を目的とした新規制の修正案で合意した。すでに合意していた案と比べて、欧州証券監督機構(ESMA)の権限を強化す […]

EU加盟国は24日に開いた経済・財務理事会で、店頭市場で取引される金融派生商品(デリバティブ)に対する監視強化を目的とした新規制の修正案で合意した。すでに合意していた案と比べて、欧州証券監督機構(ESMA)の権限を強化する内容。年内の法案成立に向けて、欧州議会との調整を進める。

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デリバティブでは清算機関を介さず機関投資家同士が直接に売買する相対取引が多く、金融当局がリスクを十分に把握できない状況にある。これが2008年の世界的な金融危機を招いた一因になったとする反省を踏まえ、主要20カ国・地域(G20)は09年の首脳会議で、12年末までに店頭デリバティブ取引に関する新たな規制を導入することで合意。これを受けて欧州委は2010年に規制案をまとめていた。

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新規制は、店頭取引に中央清算機関(CCP)を通じた清算を義務づけることを柱とする内容。加盟国は昨年10月、規制案で合意していた。しかし、欧州議会がCCP認可に関するESMAの権限強化を求めたことから、再調整が必要となっていた。

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10月に合意した案では、EU各国の当局によるCCP認可に問題があると判断された場合でも、取り消しには当該国を除く全加盟国による承認が必要だった。修正案では、加盟国の3分の2が必要と判断すれば、認可の可否がESMAに委ねられる。

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このほか修正案には、◇年金関連のデリバティブについては、中央清算の義務化を3年間猶予する◇域外の第3国の事業者によるEU内でのCCP設立に関しては、当該国がEUと同等のデリバティブ規制を導入している場合に限って認める――ことも盛り込まれた。

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