2012/1/30

産業・貿易

有期雇用契約めぐり欧州裁が見解、恒常的需要でも更新可

この記事の要約

EU司法裁判所は26日、非正規雇用における有期雇用契約に関連して、労働力の代替が一時的な需要ではなく、「くり返し」あるいは「恒常的」に代替が必要な場合にも、有期契約の更新が正当化されるとの見解をまとめた。これはドイツで提 […]

EU司法裁判所は26日、非正規雇用における有期雇用契約に関連して、労働力の代替が一時的な需要ではなく、「くり返し」あるいは「恒常的」に代替が必要な場合にも、有期契約の更新が正当化されるとの見解をまとめた。これはドイツで提起された訴訟について、同国の連邦労働裁判所が司法裁に意見を求めていた事案に対する回答。司法裁はくり返しまたは恒常的に代替労働力が必要な状況で、新たに期限付きの雇用契約を結んだり、有期契約を更新する行為が直ちにEU法で禁止された有期契約の「乱用」にあたるとはいえないと指摘。ただし、実際の裁定にあたっては、累計の契約期間や更新回数を考慮して、有期契約が法的に有効と認められるための「客観的理由」の有無を判断しなければならないと警告している。

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EU法は期間に定めのない無期限契約を雇用関係の基本と位置づけ、雇用者が有期契約を締結したり、更新する際の条件を定めている。1999年に採択された「有期雇用契約に関する指令」は有期契約労働者に対する差別の禁止と、有期契約の乱用(継続的な有期契約)防止という2つの柱から成り、加盟国は同指令に沿ってさまざまなルールを導入している。ドイツでは2000年に「パートタイム・有期労働契約法」が制定され、有期契約を締結できる客観的理由として◇特定の労働力の需要が一時的であること◇労働力の代替が必要になった場合◇当該労働者を試験的に雇用する場合――などを挙げている。

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今回の事案は累計11年の雇用期間に有期契約を計13回締結したケルン地方裁判所の元職員が起こした裁判。元職員は継続的な有期契約を通じて雇用期間が11年に及んだ点について、「代替労働力の需要が一時的」だったとはいえず、したがって少なくとも最後の更新については契約が法的に有効と認められる客観的理由が存在しなかったと主張している。ドイツの連邦労働裁はEU司法裁の判断を基に、長期にわたる継続的な有期契約を正当化する客観的理由があったかどうか判断することになる。

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