2012/2/6

環境・通信・その他

ガリレオ計画で新たに3件の契約、14年の運用開始が軌道に

この記事の要約

欧州委員会は2日、欧州独自の衛星利用測位システム「ガリレオ」計画について、新たに衛星の製造と打ち上げに関する計3件の契約を結んだと発表した。EUは昨年10月に最初の打ち上げを行い、2014年の運用開始を目指している。同プ […]

欧州委員会は2日、欧州独自の衛星利用測位システム「ガリレオ」計画について、新たに衛星の製造と打ち上げに関する計3件の契約を結んだと発表した。EUは昨年10月に最初の打ち上げを行い、2014年の運用開始を目指している。同プロジェクトは資金難や運営方針をめぐる加盟国の対立などから一時はとん挫の危機に直面したが、欧州委は新たな契約を通じ、実用化に向けて計画は確実に軌道に乗ったと強調している。

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ガリレオは米国の全地球測位システム(GPS)に対抗してEUが開発を進める民生用の測位システム。GPSより精度が高く、数センチの誤差で測定される位置情報をカーナビ、鉄道や車両の運行管理、航空管制、資源探査、都市計画、犯罪捜査などに役立てることを目的としている。20年までに最大30 基の衛星(予備2基)と3カ所の地上管理センターなどから成るシステムが完成する見通し。実用化の第1段階として、14年からオープンサービス(誰でも利用できる測位データの無償提供)、捜索・救助サービス、各国政府向けサービスを開始する。ガリレオの総開発費は54億ユーロ、運用コストは年間8億ユーロに上るが、欧州委は20年間で900億ユーロの経済効果を見込んでいる。

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衛星の製造に関しては、独OHBシステムが2年前に初期発注分の14基を5億6,600万ユーロで受注しているが、同社は独EADSアストリウムを押さえ、今回新たに8基分の契約を獲得した。契約金額は2億5,000万ユーロ。一方、打ち上げサービスについては前回に続き、仏アリアンスペースが3,000万ユーロの契約を受注した。アリアンスペースは打ち上げ用ロケット「アリアン5」を使って14年までに最大3回の打ち上げを実施する。さらに今回、アリアン5による1回の打ち上げで衛星4基を軌道に運ぶためのオペレーションに関連して、仏アストリウムが3,000万ユーロの契約を獲得した。現在ガリレオの衛星は、ロシアのソユーズロケットを使って1回に2基ずつ打ち上げられているが、アリアン5の導入によって14年までに軌道に乗せる衛星の数を増やすことが可能になり、プロジェクトを加速させることができる。

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