2012/2/6

環境・通信・その他

グーグルの新個人情報保護ポリシー、EU当局が適用延期を要請

この記事の要約

EU加盟国のデータ保護当局で構成する第29条作業部会は3日、米グーグルに対し、同社が1月に発表した新たなプライバシーポリシーの適用を当面見送るよう要請したことを明らかにした。EUの個人情報保護ルールと新ポリシーの整合性に […]

EU加盟国のデータ保護当局で構成する第29条作業部会は3日、米グーグルに対し、同社が1月に発表した新たなプライバシーポリシーの適用を当面見送るよう要請したことを明らかにした。EUの個人情報保護ルールと新ポリシーの整合性について分析・検証を行うためで、調査期間は未定。作業部会の要請は拘束力を持たないため、グーグルは予定通り3月1日から新ポリシーを導入することもできるが、EUでは欧州委員会が先に1995年に導入した「データ保護指令」の改正案をまとめるなど、インターネット上の個人情報保護強化に動いており、グーグルの対応が注目される。

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グーグルが1月に発表した新たなプライバシーポリシーは、個々の製品やサービスに対する合わせて70以上のプライバシー関連のドキュメントを統合し、同社が収集するユーザー情報やその用途について分かりやすく説明するという内容。グーグルは検索や電子メールなど複数のサービスを利用しているユーザーの情報を統合することで、個々のユーザーの関心やニーズを検索結果に反映させたり、より関連性の高い広告を掲載することなどが可能になり、「ユーザー体験の向上」につながると主張している。しかし、プライバシー擁護団体などは個人情報の取り扱いに関するユーザーの権利が損なわれると反論。米マイクロソフトも米国の主要紙に大規模な批判広告を掲載し、さまざまなサービスを通じて横断的に収集したユーザー情報を広告に利用するのがグーグルの狙いだなどと指摘している。

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作業部会はグーグルのラリー・ペイジ最高経営責任者(CEO)に宛てた書簡で「グーグルが提供している幅広いサービスとそれに対する需要を考えると、EU市民のほとんどがプライバシーポリシーの変更による影響を受けることになる」と指摘。「個人情報をめぐるユーザーの権利に関連したグーグルの公約について解釈の違いがないことを確かめるため」、新ポリシーの適用を遅らせるよう要請したと説明している。具体的な問題点には言及していないが、事前にユーザーの承認を得ることなく、異なるプラットフォームで個人情報が共有されることを最も警戒しているとみられる。

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一方、グーグルの広報担当は「新ポリシーを発表する1週間前に作業部会の大部分のメンバーに変更の内容を伝えたが、その段階ではどこからも重大な指摘は受けなかった」と説明。データ保護当局と緊密に連携して問題の解決を図りたいとコメントしている。

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