2012/2/6

環境・通信・その他

8カ国電力会社の無償排出枠、欧州委が7月決定へ

この記事の要約

欧州委員会はEU排出量取引制度(EU-ETS)で2013年から導入されるオークション方式による排出枠の配分に関連して、発電部門に対する例外措置として域内8カ国の電力会に割り当てる無償排出枠を7月半ばまでに決定するもようだ […]

欧州委員会はEU排出量取引制度(EU-ETS)で2013年から導入されるオークション方式による排出枠の配分に関連して、発電部門に対する例外措置として域内8カ国の電力会に割り当てる無償排出枠を7月半ばまでに決定するもようだ。米ブルームバーグ1月30日、同社の取材に応じた欧州委報道官の発言として報じた。

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EU-ETS第3期間(13-20年)以降の制度改正により、発電部門は13年から原則的にオークションによる有償割当に移行するが、◇石炭など化石燃料への依存度◇送電網の相互接続状況◇国民1人当たりのGDP――など一定の条件を満たした主に中・東欧の10カ国は、既存の発電施設に対して全面オークションの適用外となること認められている。昨年9月末までに欧州委に無償排出枠の割当を申請したのはこのうち8カ国で、当初は3月末までに審査が終了する予定だった。欧州委のヴァレーロ=ラドロン報道官はブルームバーグの取材に対し、申請のあった8カ国から1月16日までに追加情報が提出され、これを基に6カ月以内に内容を精査して各国に割り当てる無償排出枠を最終決定すると説明している。

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欧州委に無償排出枠の割当を申請しているのはポーランド、ハンガリー、チェコ、ルーマニア、ブルガリア、リトアニア、エストニア、キプロス。このうちポーランドとチェコは第3期間にそれぞれ4億550万トン、1億820万トン相当の排出枠を無償割当とする計画を欧州委に提示している。なお、ラトビアとマルタも適用除外の条件を満たしているが、無償配分の申請は行っていない。

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EU-ETSの第1期間では全体の95%、第2期間でも90%の排出枠が対象施設に無償で割当てられてきたが、第3期間から段階的にオークションによる有償割当への移行を進め、27年までに全面移行することが決まっている。発電部門については電力需要の90%以上を石炭発電に依存するポーランドなどの強い抵抗で、13年からの全面移行に例外措置が設けられたが、適用除外の対象国でも13年に05-07年の排出実績の30%以上を有償割当とし、20年までに全面移行しなければならない。また、これらの国では無償配分される排出枠の市場価値に相当する額を電力インフラの整備や技術開発、エネルギー供給源の多様化などに投資することが義務づけられている。

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