2012/2/13

産業・貿易

銀行資本増強、経済への悪影響少ない=欧州銀行監督局

この記事の要約

EUの欧州銀行監督局(EBA)は9日、ストレステストで資本不足と判断した域内銀行の資本増強計画に関する査定結果を発表した。計画の大部分が資産の売却ではなく、内部留保などを通じたもので、実体経済に悪影響を与えることはないと […]

EUの欧州銀行監督局(EBA)は9日、ストレステストで資本不足と判断した域内銀行の資本増強計画に関する査定結果を発表した。計画の大部分が資産の売却ではなく、内部留保などを通じたもので、実体経済に悪影響を与えることはないとの見解を示している。

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EBAは昨年12月、域内銀行の財務状況を査定した結果、自己資本比率の目標を達成するために必要な資本増強の規模が31銀行で総額1,147億ユーロに達したことを明らかにした。資本不足が指摘された銀行は先月20日までにEBAに資本増強計画を提出、EBAが計画を査定していた。

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今回の査定対象にはギリシャの銀行と政府の支援下で再編中のベルギーのデクシア、独ウエストLB、オーストリアのエスタライヒッシェ・フォルクスバンケンの3行は含まれておらず、査定の対象となったのは必要とされる資本増強額全体のうち780億ユーロ相当。EBAによると、対象銀行による自己資本の上乗せ幅は約980億ユーロと、EBAが求めている水準を26%上回っている。また、銀行側が提示している措置の大部分は資本調達、内部留保、ハイブリッド債の普通株への転換であり、自己資本比率を改善するためのリスク資産の圧縮は約2割だという。このほか、資本増強に伴う融資の減少は増強した資金全体の1%未満にとどまるとの試算も示された。

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EBAは今後、各国の金融当局と協力し、各行の計画をより詳細に分析。分析の過程で計画の妥当性に疑問が生じた場合、計画の見直しを求める可能性もあるとしている。資本増強の実施期限は6月末。なお、次回のストレステストは2013年に実施する予定だ。

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