2012/2/13

産業・貿易

店頭デリバティブ規制で合意、正式承認経て導入へ

この記事の要約

EU加盟国と欧州議会は9日開いた調停委員会で、店頭市場で取引される金融派生商品(デリバティブ)に対する監視強化を目的とした規制案の内容で合意した。加盟国が1月の経済・財務理事会で合意した修正案が承認された形で、当初の案と […]

EU加盟国と欧州議会は9日開いた調停委員会で、店頭市場で取引される金融派生商品(デリバティブ)に対する監視強化を目的とした規制案の内容で合意した。加盟国が1月の経済・財務理事会で合意した修正案が承認された形で、当初の案と比べて欧州証券監督機構(ESMA)の権限を強化する規定が盛り込まれている。欧州議会本会議と閣僚理事会の正式な承認を経て、EU官報への掲載から20日後に新ルールが発効する。

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デリバティブ取引では店頭取引が全体の8割以上を占めるが、取引所取引と比べて取引に関する情報の入手が困難で金融当局がリスクを十分に把握できない状況にある。これが2008年の世界的な金融危機を招いた一因になったとする反省を踏まえ、主要20カ国・地域(G20)は09年の首脳会議で、12年末までに店頭デリバティブ取引に関する新たな規制を導入することで合意。これを受けてEUでは10年秋から店頭市場の透明性を高めて信用リスクを低減するための規制案について協議が続いている。

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規制案によると、銀行をはじめとする金融機関や一定のポジション(持ち高)を保有する事業会社などは、欧州証券監督機構(ESMA)が定める商品の店頭取引を行う際、すべて中央清算機関(CCP)での清算が義務づけられる。CCPの認可および監督はEU各国の金融当局が行うが、認可の判断に疑問が生じた場合、CCPが清算サービスを提供する加盟国のうち3分の2以上の要請で、認可の可否がESMAに委ねられる。当初の案では、認可の取り消しにはCCPが拠点を置く国を除いた全加盟国の承認が必要となっていた。また、域外に拠点を置くCCPがEU内で清算サービスを提供する場合はESMAの認可を取得しなければならず、当該国がEUと同等のデリバティブ規制を導入していることが認可の条件となる。

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このほか規制案には◇金融機関などはすべての店頭デリバティブ取引について、レポジトリ(取引情報集積機関)に取引に関する情報を報告する義務を負う◇ESMAがレポジトリの登録および監督の権限を持つ◇年金関連のデリバティブについてはCCPでの清算義務化を3年間猶予する◇新規制の導入後に欧州委員会が詳細な影響評価を行い、必要があれば3年以内に修正案を提示する――などが盛り込まれた。

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