2012/2/20

産業・貿易

モロッコとの農産物貿易自由化が拡大、欧州議会が協定承認

この記事の要約

欧州議会は16日の本会議で、EUがモロッコと農水産物貿易の関税障壁を緩和する協定を締結することを承認した。これによって協定は、EU閣僚理事会による最終承認を経て5月にも発効する見通しだ。\ 同協定では、EUはモロッコが輸 […]

欧州議会は16日の本会議で、EUがモロッコと農水産物貿易の関税障壁を緩和する協定を締結することを承認した。これによって協定は、EU閣僚理事会による最終承認を経て5月にも発効する見通しだ。

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同協定では、EUはモロッコが輸出する農水産物のうち、現在は全体の33%となっている非関税品目を55%に拡大。モロッコは、現在は1%にとどまっているEU産の非関税品目を10年間で段階的に引き上げ、最終的に70%とする。EU産では小麦を除く穀物、油糧種子作物が新たに非関税となる。

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同協定をめぐっては、フランスとスペインの農業団体が、EUで恩恵を受けるのは大規模な農業事業者だけで、小規模農家は安価なモロッコ産農水産物に太刀打ちできず、大きな打撃を受けるとして反発。欧州議会内でも、こうした懸念に加えて、モロッコが不当に実効支配しているとして国際社会から批判を浴びている西サハラが同協定に含まれているのは、モロッコの領有権を認めることになるとして反対する動きがあった。しかし、同日の採決では賛成398、反対175で協定が承認された。

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欧州委員会は、域内農家の不安を考慮し、モロッコ産のトマト、ズッキーニ、キュウリ、ニンニク、イチゴ、クレメンタイン(ミカンの一種)については協定の対象外となっていることを強調している。しかし、スペイン農業畜産連合(COAG)はなお反発しており、協定の無効化を求めて欧州司法裁判所に提訴する構えだ。

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