2012/2/20

産業・貿易

イランが英仏への原油輸出停止、EUの禁輸措置に対抗

この記事の要約

イラン石油省は19日、英国とフランスへの原油輸出を停止したと発表した。EUがイラン産原油の禁輸を決めたことへの対抗措置。英仏のイラン産原油への依存度は小さいが、7月の禁輸発動を前にイラン以外からの石油調達を進める他のEU […]

イラン石油省は19日、英国とフランスへの原油輸出を停止したと発表した。EUがイラン産原油の禁輸を決めたことへの対抗措置。英仏のイラン産原油への依存度は小さいが、7月の禁輸発動を前にイラン以外からの石油調達を進める他のEU諸国に対して、準備が整う前に輸出を差し止める用意があることを警告し、揺さぶりをかけるのが狙いとみられる。

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EUは1月、核開発を続けるイランに対する追加制裁措置として、イラン産原油の輸入禁止を正式決定。輸入の新規契約を即時に禁止し、契約済みの輸入についても7月1日から禁止することになっている。

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すでに英国はイランからの原油輸入を停止済み。米エネルギー省のデータによると、フランスの原油輸入に占めるイラン産の割合も、昨年上期時点で2%にとどまっている。このため、輸出停止は双方にとって経済的影響はない。

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しかし、EUではイタリア、スペイン、ギリシャがイラン産原油に大きく依存している。とくにギリシャでは、輸入全体の3割に上る。禁輸発動を7月まで先送りしたのも、これらの国々に配慮したものだ。

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EUはイラン産原油の輸入禁止による原油の不足を他の国からの輸入を増やすことで賄う方針で、サウジアラビア産などへの切り替えを進めている。新たな調達先を確保する前にイラン産原油の輸入が止まると、ギリシャなどは大きな打撃を受けることになる。イラン国営テレビによると、イラン外務省は15日、イタリア、スペイン、ギリシャ、オランダ、ポルトガル、フランスの大使を呼び、各国が長期の輸入契約締結に応じなければ、輸出を即時停止すると警告していた。

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今回のイランの動きには、EUによる禁輸を主導した英仏を見せしめにすることで、他の国を動揺させ、禁輸をめぐるEUの足並みの乱れを誘いたいという思惑があるもようだ。

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