2012/2/27

環境・通信・その他

オイルサンド“有害”認定の決定持ち越し、環境相理事会が判断へ

この記事の要約

EU加盟国は23日、オイルサンド(油砂)から抽出した石油を有害と認定するルールの導入の是非について専門委員会で採決を行ったが、票が分かれて決定を持ち越した。これを受けて6月に開く環境相理事会で最終判断する。\ 欧州委員会 […]

EU加盟国は23日、オイルサンド(油砂)から抽出した石油を有害と認定するルールの導入の是非について専門委員会で採決を行ったが、票が分かれて決定を持ち越した。これを受けて6月に開く環境相理事会で最終判断する。

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欧州委員会は、オイルサンドからの石油抽出では通常より多くの温暖化効果ガスが生じるとして、EU内で販売されるオイルサンド由来の石油に有害と表示することを提案。これに対して、世界有数のオイルサンド資源国であるカナダや石油会社が強く反発している。

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加盟国の環境専門家による会合で行われた採決は、各国の人口に応じて票数を割り当てる特定多数決システムで行われた。この結果、新ルール導入に賛成が54票、反対が128票、棄権が128票となり、賛否両派とも過半数に達せず、結論を持ち越した。

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採決の結果は未公表だが、消息筋によるとスウェーデン、デンマークなどが賛成、イタリアなどが反対に回ったが、持ち票の多いドイツ、フランス、英国やオランダなどが棄権したという。英とオランダは、両国を拠点とする石油メジャー、ロイヤル・ダッチ・シェルが同ルールに反発していることから、棄権に回ったもようだ。フランスの棄権も、同国石油大手トタルに配慮したものとみられる。

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カナダはオイルサンド由来の石油をEUにほとんど供給してないが、有害と認定されると他の国への輸出に悪影響が及ぶことから、CO2排出が多いという科学的根拠はないとして反発。新ルールが導入されれば、世界貿易機関(WTO)に提訴するとしている。

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欧州委員会のヘデゴー委員(気候変動担当)は、反対派が激しいロビー活動を展開したにもかかわらず、採決で否決に至らなかったことを歓迎。環境相理事会での承認取り付けに向けて力を注ぐ考えを示した。

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