2012/3/5

総合 –EUウオッチャー

ECBが2回目の3年物資金供給、800銀行が5300億ユーロ応札

この記事の要約

欧州中央銀行(ECB)は2月29日、2回目となる3年物資金の供給オペレーションを実施し、ユーロ圏の約800銀行に総額5,295億ユーロを供給した。ECBによる1回のオペでの供給額としては、前回を抜いて過去最高となる。両オ […]

欧州中央銀行(ECB)は2月29日、2回目となる3年物資金の供給オペレーションを実施し、ユーロ圏の約800銀行に総額5,295億ユーロを供給した。ECBによる1回のオペでの供給額としては、前回を抜いて過去最高となる。両オペによる供給額は1兆ユーロを超えた。

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ECBは昨年12月、信用不安で資金繰りが悪化しているユーロ圏の銀行を支援するため、これまでで最長となる3年物の資金を政策金利と同水準の年1%という低金利で無制限で供給することを決定。同21日に実施された初回オペでは523銀行が応札し、供給総額は4,892億ユーロに達した。今回のオペでは、ECBによる最後の長期資金供給となる可能性があることなどから予想を超える需要があり、応札した銀行、応札額とも前回を上回った。

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ECBによる無制限の長期資金供給には、銀行の資金繰りを改善することで、イタリアなど重債務国の国債に対する需要を回復させ、利回りを低下させたいという意図がある。当初は銀行が調達した資金の大部分を手元に置き、大きな効果は望めないとの見方が多かった。しかし、前回の供給後に銀行の国債購入が急増し、財政危機で第2のギリシャとなることが懸念されていたイタリア、スペインの国債利回りを大きく押し下げ、危険水域とされる7%を超えていたイタリアの10年物国債の利回りは4.92%(2日現在)まで低下。ユーロ圏の信用不安拡大に歯止めがかかる契機となった。

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今回のオペでは、前回と比べて中小銀行が多く応札したもようで、国債買い入れのほか中小企業への融資が増加し、冷え込んでいるユーロ圏経済を下支えする効果も期待されている。

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