2012/3/12

環境・通信・その他

20年以降の温効ガス削減計画が暗礁、ポーランドの反対で合意できず

この記事の要約

EU加盟国は9日に開いた環境相理事会で、2020年以降の温室効果ガス削減計画について協議したが、石炭火力に依存するポーランドの反対で長期目標を採択することはできなかった。欧州委員会はEU全体で2050年までに温室効果ガス […]

EU加盟国は9日に開いた環境相理事会で、2020年以降の温室効果ガス削減計画について協議したが、石炭火力に依存するポーランドの反対で長期目標を採択することはできなかった。欧州委員会はEU全体で2050年までに温室効果ガス排出量を1990年比で80-95%削減するとの目標を打ち出し、加盟国に支持を求めているが、新たな削減計画の策定には全会一致の承認が必要。ポーランドは国際的な合意がない状況で20 年以降の新たな目標を設定すべきではないと主張しており、妥協点を見出すのは困難な情勢だ。

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EUは20年までに90年比で20%の温室効果ガス排出削減を公約しており、目標達成はほぼ確実とみられている。欧州委はEUが国際的な議論で主導権を維持するには、さらに踏み込んだ削減目標を掲げる必要があるとの立場から、昨年3月にEUが50年までに競争力のある低炭素社会に転換するには90年比で少なくとも80%の温室効果ガス排出削減が不可欠とする報告書を発表。目標達成に向けて20年時点で25%、30年時点で40%、40年時点で60%の削減を目指すとした行程表を加盟国に提示した。しかし、ポーランドは昨年6月の環境相理でも欧州委の提案に反対を表明し、他の26カ国の支持にもかかわらず長期目標で合意できなかった経緯がある。

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EU議長国デンマークのリデゴー気候・エネルギー・建物相は会議後の会見で、全会一致の承認を得るための妥協策として、当初は「20年時点で25%」の削減目標を削除すればポーランドが譲歩すると考えていたと説明。欧州委のヘデゴー委員(気候変動担当)は「加盟国の中で唯一、意見が異なるポーランドとの妥協点を見出すためあらゆる努力をしたが、最終的に拒否された」と述べ、同国の交渉態度を暗に非難した。

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ポーランドは火力発電用燃料の約90%を石炭に依存しており、率先して厳しい温室効果ガス削減目標を掲げるEUの政策に強く反発している。コロレツ環境相はEU加盟国の環境相に宛てた書簡で、景気低迷が続く中で新たな目標を打ち出すことはEUにとって「ギャンブル」だと指摘。国連主導による国際的な合意が形成されるまで、20年以降の気候変動政策に関していかなる公約も掲げるべきではないと強調している。

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