2012/3/12

環境・通信・その他

中国がエアバス機の発注取り消し、EUの排出規制に対抗

この記事の要約

EUが1月から航空業界に適用した温室効果ガス排出規制に域外からの批判が高まるなか、欧州の航空機大手エアバスと同社の親会社EADSは8日、中国政府の意向で同国の航空会社からのエアバス機の発注が取り消されたことを明らかにした […]

EUが1月から航空業界に適用した温室効果ガス排出規制に域外からの批判が高まるなか、欧州の航空機大手エアバスと同社の親会社EADSは8日、中国政府の意向で同国の航空会社からのエアバス機の発注が取り消されたことを明らかにした。中国民用航空局(CAAC)は報道を否定しているが、同国政府は自国の航空会社がEUのルールに従うことを禁止する方針を表明しており、今月初めには香港航空がエアバス機10機の発注を取り消す可能性を示唆していた。

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EUの新規制は排出量取引制度(EU-ETS)に基づいて域内の空港を離着陸するすべての航空会社に二酸化炭素(CO2)の排出削減を義務づけ、達成できない場合は超過分の排出枠を購入するか、制裁金を支払うという内容。EUのアプローチに対して国際的な批判が高まるなか、中国政府は2月初め、域外の航空会社を一方的に規制の対象とすることは国際法に違反するとして、CAACを通じて国内の航空会社にEUの規制を拒否するよう指示した。米国でも対抗法案が検討されているほか、先月には米・中両国に日本、ロシア、インド、ブラジルなどを加えた23カ国がモスクワで会合を開き、EU域内の航空会社に対して飛行制限や新たな課税などの対抗策を講じることで合意。ロシアはEU国籍の航空会社に対してシベリア上空の飛行を制限する方針を示唆するなど、反対国が一致してEUへの対決姿勢を強めている。

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エアバスの広報担当はAP通信の取材に対し、EUの規制に反対する域外の26カ国から同社に対して報復措置が取られる可能性を指摘。中国の航空会社からすでに「A330」35機の発注が取り消されたほか、超大型旅客機「A380」10機もキャンセルになる可能性があると説明し、損失額は合わせて120億ドルに上ると語った。一方、EADSのガロワ最高経営責任者(CEO)は8日に行った2011年の決算発表で、エアバスが中国政府による「報復措置の対象」になったと明言。新規制によってEUと域外の国との対立が深まっている現状に強い懸念を示し、国際的な合意に基づく解決策を模索すべきだとの考えを強調した。

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中国側はエアバス側の発言を否定している。CAACの李局長はブルームバーグ通信に対し、国内の航空会社にエアバス機の購入を禁止した事実はないと反論。中国政府はコストと安全性を基準に購入機を選定するよう奨励していると述べた。

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