2012/3/19

産業・貿易

EUと日米が中国をWTO提訴、レアアース輸出制限問題で

この記事の要約

EUと日本、米国は13日、中国がレアアース(希土類)に輸出を不当に制限しているとして、世界貿易機関(WTO)に提訴したと発表した。EUと米国にとっては、レアメタル(希少金属)問題に続く対中提訴となる。\ レアアースは、1 […]

EUと日本、米国は13日、中国がレアアース(希土類)に輸出を不当に制限しているとして、世界貿易機関(WTO)に提訴したと発表した。EUと米国にとっては、レアメタル(希少金属)問題に続く対中提訴となる。

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レアアースは、17種類の希土類元素の総称。自動車、家電、兵器など多様なハイテク製品に使われる。中国は世界産出量の約97%を占める最大の資源国だ。 

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EUと日米は、レアアース生産をほぼ独占する中国が、輸出に数量制限や特別税を設けるなどして海外への供給を厳しく制限する一方で、国内企業に安価で優先的に回しているのはWTO協定に違反し、全世界の企業、消費者に大きな打撃を与えていると主張している。

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EUと米国は2009年、中国がボーキサイト、コークスなど9種類の鉱物の輸出を不当に制限しているとしてWTOに提訴。今年1月に勝訴が確定した。これを受けて、同様の構造を持つレアアース輸出制限について、中国政府が撤廃に応じることを期待していた。しかし、中国政府が輸出制限は環境や資源を守るための措置として妥当性を主張し続けていることから「選択の余地はない」(欧州委員会のデフフト通商担当委員)として、提訴に踏み切った。レアアースのほか、高融点金属のタングステンとモリブデンの輸出制限も対象となっている。

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EU・日米と中国は、まず当事者間の協議で紛争解決を目指す。60日以内に紛解決されない場合は、紛争処理小委員会(パネル)で本格的に争うことになる。

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