2012/3/19

競争法

ユニバーサルのEMI買収、欧州委の本格調査が確実に

この記事の要約

仏メディア大手ビベンディ傘下のユニバーサル・ミュージック・グループが英音楽大手EMIグループのレコード部門を買収する計画をめぐり、欧州委員会がEU競争法に基づく本格調査に入る可能性が高まっている。欧州委は2月下旬から初期 […]

仏メディア大手ビベンディ傘下のユニバーサル・ミュージック・グループが英音楽大手EMIグループのレコード部門を買収する計画をめぐり、欧州委員会がEU競争法に基づく本格調査に入る可能性が高まっている。欧州委は2月下旬から初期調査を進めており、今月23日までに認可の可否を判断することになっているが、取引を認めた場合、欧州音楽市場で寡占化が進み、価格上昇などを引き起こす事態を懸念している。ユニバーサルは早期認可を得るため、予め資産売却などの譲歩案を提示することもできたが、期限の15日までに具体的な提案はなかった。このため、欧州委が最大4カ月におよぶ第2段階の調査に入るのはほぼ確実とみられている。

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ビベンディは昨年11月、米金融大手シティグループからEMIのレコード部門を19億ドルで買収し、ユニバーサルに統合する計画を発表した。一方、EMIの音楽出版部門はソニー率いる企業連合が22億ドルで取得することで合意している。世界の音楽市場ではユニバーサル、ソニー、EMIに米ワーナー・ミュージックを加えた4大メジャーが圧倒的なシェアを占めているが、EMIの買収が実現すると大手が3社に減り、さらに寡占化が進むと予想される。ビートルズなどの楽曲を保有するEMIの買収を認めた場合、レディ・ガガなどの人気歌手を擁するユニバーサルのシェアは欧州市場で約40%に拡大するため、独立系レコード会社の業界団体「インパラ」は欧州委に取引を認可しないよう働きかけている。

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欧米メディアによると、欧州委はユニバーサル側に対し、EMIの買収を認めると欧州音楽市場で著しく競争が阻害される可能性があるとの見解を非公式に伝え、計画の修正を求めたもよう。ユニバーサルは買収認可を得るため、本格調査の開始後、問題点が明らかになった段階で何らかの譲歩案を提示するものとみられる。市場関係者の間では、大規模な資産売却のほか、音楽配信市場で他社に公正な条件で楽曲を提供するシステムの構築などを提案するとの見方が出ている。

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