2012/3/26

産業・貿易

イスラエルと航空協定で合意、2017年に完全自由化へ

この記事の要約

欧州委員会は22日、イスラエル政府との間で進めていた航空市場の自由化・統合に向けた交渉が妥結したと発表した。EU諸国がイスラエルと個別に結んでいる2国間協定に代わり、EUと同国の間で航空会社が路線や便数などを自由に設定で […]

欧州委員会は22日、イスラエル政府との間で進めていた航空市場の自由化・統合に向けた交渉が妥結したと発表した。EU諸国がイスラエルと個別に結んでいる2国間協定に代わり、EUと同国の間で航空会社が路線や便数などを自由に設定できる新たな協定を締結する。正式な手続きを経て段階的に市場開放を進め、2017年春の完全自由化を目指す。

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EUとイスラエルは2008年12月に新協定締結に向けた交渉を開始し、今回が8回目の協議だった。現行の2国間協定では国籍条項により、EU内の航空会社が自国以外からイスラエルへの直行便を運航することはできないが、新協定では域内のどこからでもイスラエル便の運航が可能になる。一方、イスラエルの航空会社はEU内のすべての空港に乗り入れできるようになる。便数の制限も撤廃される。航空会社が路線や料金を自由に設定できるようになることで競争が促進され、運賃の値下げやサービスの向上が見込まれる。さらに観光産業の振興とそれに伴う新たな雇用の創出も期待される。

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新協定にはこのほか、イスラエルがEUと近隣諸国の「共通航空領域(Common Aviation Area=CAA)」の枠組みに参加することも盛り込まれる。イスラエルは欧州航空市場との統合を目指して安全性、環境対策、消費者保護など幅広い領域でEUの定める基準を満たすためのルール作りを進める。EUはこれまでに西バルカン諸国、モロッコ、ヨルダン、グルジア、モルドバとCAA構築に向けた協定を締結済み。現在はウクライナおよびレバノンと協議を行っており、近くアゼルバイジャンやチュニジアとも交渉を開始する意向を示している。

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EUとイスラエルを結ぶ路線の利用者は2010年に前年比13.4%増の675万人に上った。現在は英国、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、オーストリア、ベルギー、オランダなど域内16カ国とイスラエルの間で直行便が運航されている。

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