2012/4/16

競争法

英携帯3社の決済合弁事業に問題、欧州委が本格調査に着手

この記事の要約

欧州委員会は13日、英国の携帯電話大手3社が計画しているモバイル決済サービス関連の合弁事業について、EU合併規則に基づく本格調査を開始したと発表した。初期調査の結果、英国で携帯電話通信網を運営する4社のうち上位3社による […]

欧州委員会は13日、英国の携帯電話大手3社が計画しているモバイル決済サービス関連の合弁事業について、EU合併規則に基づく本格調査を開始したと発表した。初期調査の結果、英国で携帯電話通信網を運営する4社のうち上位3社による合弁事業を認めた場合、高い成長が見込めるモバイル決済市場で公正な競争が阻害されるおそれがあると判断した。欧州委は最大90営業日にわたる調査を経て、8月27日までに最終的な結論を出す。

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英ボーダフォン、スペインのテレフォニカ傘下のO2、ドイツテレコムとフランステレコムの合弁会社エブリシング・エブリウェアは昨年6月、モバイル決済システムの共通プラットフォーム構築を目的とする合弁会社の設立で合意した。3社は「プロジェクト・オスカー」と名づけた合弁事業を通じ、近距離無線通信(NFC)技術を利用したモバイル決済(いわゆる「おサイフケータイ」)サービスやモバイル広告・マーケティング関連事業を計画しており、3月6日付で欧州委に認可を申請していた。

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欧州委は初期調査を通じ、合弁会社と親会社3社には将来的に英国でモバイル決済事業を展開する可能性のあるライバルを排除したり、サービスの質を低下させて顧客にとって魅力のないものにする「技術および商業面の能力や動機」があることが明らかになったと指摘している。アルムニア副委員長(競争政策担当)は声明で「欧州委はモバイルコマース市場の発展につながるイニシアチブを支持する立場だが、同時に顧客が最小の費用で最良のサービスを利用できるよう、競合するサービスが参入できる環境を確実に維持する必要がある」とコメントした。

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