2012/4/23

総合 –EUウオッチャー

エネルギー分野の途上国支援拡大、5千万ユーロで技術支援機関創設へ

この記事の要約

欧州委員会は16日、途上国に暮らすおよそ5億人が2030年までに持続可能なエネルギーを利用できるようにするための支援策を発表した。向こう2年間に5,000万ユーロを投じて「EU技術支援機関」を立ち上げ、EUが持つエネルギ […]

欧州委員会は16日、途上国に暮らすおよそ5億人が2030年までに持続可能なエネルギーを利用できるようにするための支援策を発表した。向こう2年間に5,000万ユーロを投じて「EU技術支援機関」を立ち上げ、EUが持つエネルギー分野の専門知識や技術を提供して途上国の持続可能な開発と成長を促す。

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新たな支援計画は、国連の潘基文事務総長が提唱するイニシアチブ「すべての人に持続可能なエネルギーを」の一環として行われるもの。EUが同日ブリュッセルで開催した国際会議の席で、欧州委員会のバローゾ委員長が明らかにした。途上国における再生可能エネルギー事業に数億ユーロ規模の資金支援を行うことや、域内の金融機関と連携して新たな保証の枠組みを整備し、持続的な投資を促すことなどが支援策に盛り込まれている。

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欧州委によると、世界全体ではおよそ5人に1人が電気の届かない環境で生活しており、それによって就労や学業などの機会が奪われている。EUはエネルギー分野における途上国支援で世界をリードしており、インフラ整備などの目的で過去5年間に拠出した資金は総額10億ユーロに上る。しかし、EUからの支援が確実にエネルギーアクセスの改善につながる仕組みを整える必要があると判断し、技術支援機関の創設を柱とするイニシアチブを打ち出した。

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バローゾ委員長は「エネルギーと開発を切り離すことはできない。エネルギーへのアクセスが確保されない限り、2015年までに世界の貧困を半減することなどを目指したミレニアム開発目標(MDG)を実現することは不可能だ。エネルギー利用はもはや特権ではなく、すべての人に与えられた権利だ」と強調。30年までにアフリカなどで暮らすすべての人にエネルギーが供給されるよう、国際社会が連携して途上国への支援を強化する必要があると訴えた。

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