2012/5/7

総合 –EUウオッチャー

欧州でウクライナへの批判高まる、前首相の処遇めぐり

この記事の要約

職権乱用罪で禁錮刑判決を受けて服役中のウクライナのティモシェンコ前首相(51)が、看守から暴力を受けたと訴えている問題で、ヤヌコビッチ政権への非難を強める欧州各国の首脳らが同国で開かれる行事への参加を見合わせる事態となっ […]

職権乱用罪で禁錮刑判決を受けて服役中のウクライナのティモシェンコ前首相(51)が、看守から暴力を受けたと訴えている問題で、ヤヌコビッチ政権への非難を強める欧州各国の首脳らが同国で開かれる行事への参加を見合わせる事態となっている。

\

ウクライナ外務省は4月30日、ドイツ、オーストリア、イタリア、スロベニア、チェコの5カ国が今月11日からヤルタで開催される地域サミットへの出席を見送ると通告してきたことを明らかにした。エストニアも参加しない見通しだという。外務省のボロジン報道官は、不参加の理由について「外交的抗議であると考える理由はない」と、前首相の処遇をめぐる問題との関連を否定したが、欧州各国が事態の改善を求めヤヌコビッチ政権に対して政治的圧力をかけているのは明白だ。

\

ティモシェンコ前首相は、首相在任中に合意したロシアとの天然ガスの輸入契約をめぐり国に損害を与えたとして、昨年10月に禁錮7年の実刑判決を言い渡され収監されている。 前首相は先月、看守に腹部を殴られるなどの暴力を受けたとして抗議のハンガーストライキを行っているが、ウクライナの検察は事実関係を裏付ける証拠は見つからなかったとして立件を見送った。

\

ウクライナはポーランドと共催するサッカーの欧州選手権(ユーロ2012)の開幕を6月に控えるが、欧州委員会のバローゾ委員長は「今の状態ではウクライナで行われるいかなる行事にも参加しない」との声明を発表。レディング副委員長やオーストリアのファイマン首相も、ユーロ2012をボイコットする意向を相次いで表明した。ドイツのメディアによると、同国のメルケル首相もユーロ2012「政治的ボイコット」を検討しており、閣僚にも同調するよう呼びかけている。EU加盟を目指すウクライナにとってユーロ2012は他の欧州諸国との絆を深める絶好の機会となるビッグイベントだが、前首相をめぐる今後の対応によっては大会が失敗に追い込まれる恐れも出ている。

\