2012/6/4

総合 –EUウオッチャー

スペインの財政赤字是正期限、1年先送りを容認=欧州委

この記事の要約

欧州委員会は5月30日、財政危機が深刻化しているスペインに対して、2013年となっている財政赤字の是正期限を1年先送りすることを容認する姿勢を示した。銀行への公的支援が膨らんでいることなどを考慮したもようだ。\ スペイン […]

欧州委員会は5月30日、財政危機が深刻化しているスペインに対して、2013年となっている財政赤字の是正期限を1年先送りすることを容認する姿勢を示した。銀行への公的支援が膨らんでいることなどを考慮したもようだ。

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スペインは財政赤字を2013年までに、EUの財政規律を定めた安定成長協定で上限となっている国内総生産(GDP)比3%以内に抑えることを義務付けられている。政府は同目標の達成に向けて厳しい緊縮策をまとめ、今年は赤字を昨年のGDP比8.9%から5.3%まで圧縮する計画だ。しかし、国内銀行の不良債権処理が進まず、公的資金の注入を拡大せざるを得ない状況にあり、財政健全化が遅れるのは必至とみられている。

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欧州委のレーン委員(経済通貨問題担当)は、加盟国の財政・経済改革に関する勧告をまとめた報告書発表の際の記者会見で、スペイン政府が2013、14年の「しっかりした予算計画」を策定することや、自治州の財政を引き締めることを条件に、財政規律順守の期限を1年延長し、2014年とすることを勧告する用意があることを明らかにした。欧州委が同勧告を行った場合、加盟国は28~29日の首脳会議で承認の可否を協議することになる。

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EUは南欧の重債務国に厳しい財政緊縮策の導入によって、早期に財政を健全化するよう求めてきた。しかし、緊縮策が景気を大きく圧迫し、税収減を招いて財政再建が困難になると批判する声が強まり、フランス大統領選で反緊縮派のオランド氏が当選したことなどを受け、財政再建一辺倒から成長・雇用確保との両立を図る方向に路線を転換しつつある。スペインをめぐる今回の動きも、こうした流れに沿ったものだ。

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