2012/6/4

環境・通信・その他

欧州委がオランダなど5カ国を提訴、通信分野の消費者保護めぐり

この記事の要約

欧州委員会は5月31日、オランダなど5カ国が通信分野における消費者保護の強化を目的としたEUルールを履行していないため、EU司法裁判所に提訴したと発表した。EUは2009年に2つの指令と1つの規則から成る通信規制改革法を […]

欧州委員会は5月31日、オランダなど5カ国が通信分野における消費者保護の強化を目的としたEUルールを履行していないため、EU司法裁判所に提訴したと発表した。EUは2009年に2つの指令と1つの規則から成る通信規制改革法を採択し、加盟国は11年5月25日までに、消費者の権利強化とネット上の個人情報保護に主眼を置いた2つの指令を国内法に転換することが義務づけられていた。欧州委はオランダ、ベルギー、ポーランド、ポルトガル、スロベニアがEU法の履行義務を怠ったとし、司法裁に対してこれら5カ国に制裁金を科すよう求めている。

\

通信規制改革に関する指令の1つは「より良い規制」指令、もう1つは「市民の権利」指令と呼ばれ、消費者の権利強化と選択肢の拡大、オンライン上における個人情報保護と安全の確保を最大の目的としている。具体的には事業者に◇固定および携帯電話の番号を維持したまま、1営業日以内に事業者を変更できる権利の保障◇トラフィック管理の方法、インターネット回線の接続速度などサービス品質の最低水準保証、基準を達成できなかった場合の補償に関する情報開示◇個人情報保護の強化と個人データの侵害に関する当局への報告◇ユーザー情報を記録するクッキー等の使用に関する事前同意の取得――などを義務づけている。

\

国内法への転換期限までに法整備が完了した国は全体の3分の1程度にとどまったもようで、欧州委は当時、向こう数カ月以内に国内法が制定されない場合は法的措置を検討すると警告していた。リスボン条約の規定により、欧州委はEU法を履行していない国に対して制裁金を科すよう司法裁に提案する権限を持つ。今回は履行義務違反の期間や重大性に応じ、5カ国に1日当たり1万3,000ユーロ(スロベニア)~11万2,190ユーロ(ポーランド)の制裁金を科すよう求めている。

\