2012/6/25

総合 –EUウオッチャー

ESM発足がずれ込みか、独の承認手続き遅延で

この記事の要約

ドイツの野党・左派党は21日、債務危機に直面するユーロ参加国に対するEUの新たな緊急金融支援の枠組みとなる「欧州安定メカニズム(ESM)」がドイツ基本法(憲法)に違反する疑いがあるとして、同国の憲法裁判所に判断を求める意 […]

ドイツの野党・左派党は21日、債務危機に直面するユーロ参加国に対するEUの新たな緊急金融支援の枠組みとなる「欧州安定メカニズム(ESM)」がドイツ基本法(憲法)に違反する疑いがあるとして、同国の憲法裁判所に判断を求める意向を表明した。これによって7月1日に予定されているESM発足が遅れ、スペインへの支援に影響が出る恐れが出てきた。

\

ESMは現行の危機国支援の枠組みである「欧州金融安定基金(EFSF)」を引き継ぐ恒常的な支援基金で、EU版の国際通貨基金(IMF)と称される。全加盟国による承認を経て、正式に発足する。当初の1年間はEFSFも存続する。

\

ドイツでは同日、主要与野党がESM承認で合意し、29日に議会で採択することを決めた。ところが、左派党はドイツが拠出するESMによるユーロ圏諸国への支援は違法と主張し、憲法裁に判断を委ねることを決めた。

\

ドイツではEFSF発足の際も同様の動きが出たものの、憲法裁が合憲判断を下した経緯がある。今回のケースも合憲と認められるのは確実だ。ただ、審理に時間がかかるため、ドイツのESM承認手続きがずれ込むのは必至で、ESMの活動開始が遅れるのは避けられない見通しだ。

\