2012/7/16

産業・貿易

著作権管理の改革案発表、透明性とガバナンス改善へ

この記事の要約

欧州委員会は11日、著作権の共同管理と国境を越えた著作権ライセンシングに関する指令案を発表した。著作権管理団体にデジタル化時代への対応を促し、EU域内で国境を越えた合法的なオンライン音楽サービスを普及させるのが狙い。\ […]

欧州委員会は11日、著作権の共同管理と国境を越えた著作権ライセンシングに関する指令案を発表した。著作権管理団体にデジタル化時代への対応を促し、EU域内で国境を越えた合法的なオンライン音楽サービスを普及させるのが狙い。

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EUにはおよそ250の著作権管理団体があり、各国の著作権管理団体が著作権使用料を別々に徴収している。このため、例えば米アップルが欧州で「iTunes」を利用して楽曲をダウンロードするオンラインミュージックストア「iTMS」のサービスを開始する場合、1曲ごとに各国から著作権ライセンスを取得しなければならず、欧州でのiTMSのサービス開始が米国より大幅に遅れる原因となったと指摘されている。また、一部の著作権管理団体がリスクの高い投資で損失を被り、ロイヤルティの支払い不能に陥ったことも、EUが著作権管理団体のあり方を見直す契機となった。

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欧州委は声明で、「著作権管理団体のサービスを効率的に提供する能力に対する疑念が高まっており、サービスに対する信頼の喪失につながっている」と指摘。著作権管理団体の運営に関する透明性とコントロールが不十分であることが問題であるとしたうえで、国境を越えた著作権ライセンスを付与する団体が満たすべき最低要件を設定することを提案。具体的には、データ処理などの技術的能力、著作権者への使用料の支払いの迅速化、収支の透明化、年次報告書の提出などを義務付ける。

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欧州委では、著作権管理団体の透明性とガバナンスが向上することによって、より革新的で質の高いサービスへのインセンティブが生まれ、国境を超えた著作権ライセンシングを促進すると期待している。欧州委のクルース副委員長(デジタルアジェンダ担当)は、「国境を越えて音楽を購入することが制限されていることは単一市場にとって障壁となっているばかりでなく、市民の不満も招いている」と述べ、著作権をデジタル化の進展に合わせて改革する必要性を改めて強調した。

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