2012/8/20

産業・貿易

労働時間指令の改正に向けた労使間協議、12月末まで交渉期間延長

この記事の要約

欧州委員会は16日、労働時間の上限などを定めた「EU労働時間指令」の見直しに関する労使間の協議について、交渉期間を12月31日まで延長することで合意したと発表した。労働時間指令をめぐっては、2009年に改正案が廃案になっ […]

欧州委員会は16日、労働時間の上限などを定めた「EU労働時間指令」の見直しに関する労使間の協議について、交渉期間を12月31日まで延長することで合意したと発表した。労働時間指令をめぐっては、2009年に改正案が廃案になった経緯があり、欧州委は改めて同指令の見直し作業を進めている。EU機能条約(TFEU)は労使関係に直接影響を及ぼす規則や指令を改正する場合、欧州委が法案をまとめる前の段階で労使双方の代表が協議に参加する権利を保障しており、労使間の交渉で合意が成立した場合は欧州委が改正指令案として加盟国に承認を求めることになる。

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労働時間指令をめぐっては、1993年の制定当時と比べて労働環境が大きく変化しているため、EUでは2004年から産業界を巻き込んで改正案について協議が続いていた。しかし、週48時間の上限を超えて労働させることを認める例外規定(オプトアウト)や、医療関係者などの「待機時間」の扱いなどをめぐって欧州議会と加盟国の間で調整がつかず、最終的に廃案になった。欧州委は10年に同指令の見直し作業を再開し、各方面からの意見募集を開始。その一環として、TFEUの規定に基づき昨年12月からビジネスヨーロッパ、欧州公共企業センター(CEEP)、欧州手工業・中小企業連盟(UEAPME)、欧州労働組合連合(ETUC)による協議が行われている。労使間の交渉期間は通常9カ月だが、必要に応じて延長できることになっており、4団体は年末まで交渉を継続することで合意。欧州委もこれに同意した。

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TFEUの規定によると、労使間で合意が成立した場合、欧州委は合意内容を改正指令案として閣僚理事会に提示。閣僚理の選択肢は承認または拒否のどちらかで、改正案に修正を加えることはできない。なお、欧州議会には共同決定権が与えられておらず、欧州委から報告を受けるのみとなる。一方、労使間の交渉で合意に至らなかった場合、欧州委が一連の協議を踏まえて改正案を策定し、その後は通常の手順で法制化の手続きが進められる。

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