2012/8/27

産業・貿易

EU27カ国の菜種収穫量は前年比3%増、独商社が作柄予測を上方修正

この記事の要約

欧州各国で菜種の収穫時期が終了に近づいているが、EU域内における収穫量は当初の予想を上回り、昨年に比べて3%程度増加する見通しとなった。米国の深刻な干ばつで穀物の収穫見通しが著しく悪化するなか、食用油やバイオディーゼルの […]

欧州各国で菜種の収穫時期が終了に近づいているが、EU域内における収穫量は当初の予想を上回り、昨年に比べて3%程度増加する見通しとなった。米国の深刻な干ばつで穀物の収穫見通しが著しく悪化するなか、食用油やバイオディーゼルの原料となる菜種の良好な作柄予測が示されたことで、市場では油糧種子の安定需給を維持しながら歴史的な高値にある大豆の輸入を抑えることができるとの見方も出ている。

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独大手穀物商社テプファー・インターナショナルは23日、EU27カ国の菜種収穫量が2011年の1,905万トンから12年は1,964万トンに増加するとの見通しを明らかにした。同社は7月時点で今年の収穫量を1,880万トンと予測していたが、1月から2月にかけて欧州を襲った記録的な大寒波の影響が予想より小さかったことなどから収穫見通しを上方修正した。

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テプファーによると、ドイツでは菜種の収穫量が昨年の389万トンから今年は516万トンに増える見通し。昨年は3月から5月にかけて降水量が例年を下回り、高温となったことで収穫量が前年を大幅に下回った。一方、ルーマニアとブルガリアを中心に、東欧諸国では寒波の影響で収穫量が昨年を下回る見通し。テプファーは東欧12カ国における収穫量が昨年の577万トンから今年は517万トンに減少するとみている。

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一方、仏油糧種子研究所(CETIOM)が23日公表した作柄予測によると、EU最大の菜種生産国のフランスでは12年の収穫量が545万トン(11年は537万トン)に達する見通し。同研究所は8月1日時点で、今年の収穫量を530万トン~560万トンと予測していた。なお、仏農務省は8月初めに昨年の収穫量を下回る530万トン程度との予測を示していた。

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さらにテプファーによると、仏独に次ぐ域内3位の生産国である英国では6月から7月上旬にかけて雨が続いたことなどが影響し、菜種の収穫量は昨年の275万トンから今年は249万トンに減少する見通し。ただし、英穀物局(HGCA)のアナリストによると、菜種の作付面積は拡大しており、「昨年ほどの収穫量は見込めないものの、歴史的にみれば相対的に高い生産レベルを維持できる」との見方を示している。

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