2012/8/27

環境・通信・その他

仏がロマ移民の就労制限緩和、欧州委は決定の即時実行を要求

この記事の要約

フランス政府は22日、国内に居住する少数民族ロマに対する就労制限を緩和する方針を打ち出した。フランスではサルコジ前大統領が犯罪対策の一環として、ロマの違法滞在者に対する取り締まりを強化。5月に発足したオランド政権下でも今 […]

フランス政府は22日、国内に居住する少数民族ロマに対する就労制限を緩和する方針を打ち出した。フランスではサルコジ前大統領が犯罪対策の一環として、ロマの違法滞在者に対する取り締まりを強化。5月に発足したオランド政権下でも今月に入り、北部リールや南東部リヨンで地元警察が公園などに設けられたロマ人のキャンプを解体し、居住者を出身国のルーマニアやブルガリアに強制送還したことで政府に対する批判が高まっていた。

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エロー首相はロマの不法居住問題に対応するため、22日にバルス内相をはじめとする関係閣僚やロマの代表と会談。出身国への送還措置と域内における「移動の自由」を保障したEU法との整合性に関する欧州委員会の懸念などに配慮して、ロマに対する就労規制を一部緩和する方針を決めた。具体的にはルーマニアやブルガリアからの不法移民を雇用した企業を対象に対する懲罰課税が廃止されるほか、ロマが従事できる職種も現在の150種から拡大される。

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欧州委のベイリー報道官は仏政府の決定について「正しい方向への一歩」と評価したうえで、「ロマ移民の日常生活に具体的な形で反映されるよう、決定は速やかに実行されなければならない」と指摘。さらに、首相府が犯罪の危険性や衛生面などの問題を抱える違法キャンプについては引き続き撤去する方針を示している点に触れ、「依然として残るすべての制限をできるだけ速やかに取り除くよう仏政府に働きかける」と述べた。

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1カ所に定住せず各地を移動するロマは欧州全体で1,200万人に上るとされ、仏政府によると、このうち約1万5,000人がフランスに居住している。サルコジ前大統領は2年前に非定住者の暴動が発生したのを機に、国内の違法キャンプを次々と撤去し、不法滞在者を出身国に送還する措置を取ったが、その際、内務省が警察当局にロマのキャンプを優先的に撤去するよう命じたことが発覚。欧州委は同措置がEU法に違反するとの見解をまとめ、仏政府に対し速やかに国内法の不備を是正するよう勧告し、仏側がこれに応じた経緯がある。

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