2012/9/17

産業・貿易

エネルギー効率指令が可決、年間500億ユーロのコスト削減へ

この記事の要約

欧州議会は11日の本会議で、EU全体で2020年までにエネルギー効率を20%改善する目標を達成するための具体策を盛り込んだ「エネルギー効率指令(案)」を賛成多数で可決した。域内のエネルギー企業に対し、エンドユーザーにエネ […]

欧州議会は11日の本会議で、EU全体で2020年までにエネルギー効率を20%改善する目標を達成するための具体策を盛り込んだ「エネルギー効率指令(案)」を賛成多数で可決した。域内のエネルギー企業に対し、エンドユーザーにエネルギー効率の改善を促すことでエネルギー販売量の削減を義務づけることや、加盟国にエネルギー効率基準に基づく公共調達を義務づけることなどを柱とする内容。EUは一連の対策を通じてエネルギー資源の輸入を大幅に減らし、年間500億ユーロの節約が可能と試算している。加盟国はすでに指令案を正式に承認しており、18カ月以内に国内法を整備しなければならない。

\

EUは温暖化対策の一環として20%の省エネ目標を掲げ、家電製品や建築物などのエネルギー効率を高めるためにさまざまな施策を導入している。しかし、現行の取り組みでは目標の半分程度しか達成できない見通しとなったため、欧州委員会は昨年6月、公共施設の省エネ促進策などを盛り込んだ新たな指令案を発表。閣僚理事会と欧州議会で審議が行われていた。

\

新指令によると、域内のエネルギー供給業者および小売業者は14年から20年までの間、一般家庭を含めたエンドユーザーにエネルギー効率の改善を促すことで、自らが販売するエネルギー量を過去3年間の平均と比べて毎年1.5%削減することが義務づけられる。具体的には熱暖房システムの効率化、二重窓の設置、屋根の断熱化などの方法で節電できるよう対策を講じることが求められる。ただし、輸送部門へのエネルギー供給は対象から除外されるほか、加盟国は他の措置を通じて同等のエネルギー効率を改善することを条件に、特定のセクターを規制の対象から除外することができる。

\

一方、加盟国はそれぞれ20年を達成期限とする省エネ目標を設定し、3年ごとに目標達成に向けた行動計画を策定して欧州委員会に提出することが義務づけられる。また、EU各国の公的機関は製品やサービスの調達に際し、エネルギー効率を選定要件に盛り込まなければならない。また、加盟国は14年以降、中央省庁が保有・管理する公共施設の省エネリフォームを毎年実施することが義務づけられ、使用可能な床面積が500平方メートル以上(15年以降は250平方メートル以上)の公共建築物を対象に、総床面積の少なくとも3%を毎年改装して断熱材や二重窓などの導入を進めることが求められる。

\

このほか域内の大企業は新指令の導入から3年以内に、エネルギー使用量や建物のエネルギー効率などについて4年ごとに監査を受けることが義務づけられる。

\